Step.5 運用・保守の改善と業務の引継ぎ
運用保守定例会議等で出た課題や運用・保守事業者から取得したデータから見えてきた改善点は、運用・保守業務の範囲内で解決が可能なものは、積極的に改善を進めていきます。しかし、運用・保守が安定していれば改善を行う余裕があるかもしれませんが、リリース直後やサービス・業務が定着していない時期では、日々の作業が多く改善が難しいことも多々あります。
ここでは、事業者の引継ぎも含めて、改善に係るノウハウをお伝えしていきます。
1 適切な時期に的確に改善を実行する
【標準ガイドライン関連箇所:第3編第9章第3節】
運用・保守の改善は、Step.4で把握した事実とその分析結果に基づいて、継続的に実施していきます。改善の内容には定常的な作業の範囲内で実施できるものもあれば、契約更新や事業者の交代、ライセンスの切れ目やハードウェアの交換でしか対応ができないもの等、様々なものがあります。
これらは、対応できるタイミングが同一にはなりませんので、以下の点に留意して、確実に改善につなげるようにします。
改善を管理するポイント
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運用・保守の定常的な作業内で解決が難しい課題は、標準ガイドライン「第8章 サービス・業務の運営と改善」内の問題管理として、どのタイミングで対応するかを明確に管理する。
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現行の運用・保守契約期間では対応することが難しい大規模の改善については次回の契約において対応せざるを得ないものもあるので、改善のための予算規模やスケジュール等について計画を立て、関係者と事前調整を行う等、早期から準備を進めておくことが重要である。
2 要員の交代で情報が欠落しないようにする
【標準ガイドライン関連箇所:第3編第9章第4節】
運用・保守フェーズでは、人事異動による職員や様々な事情による事業者の交代が発生することがあります。交代が職員、事業者のいずれであっても、担当していた期間が短ければ、持っている情報も多くないため影響は少なくなりますが、特定の人物が長期間担当していた場合、ノウハウや情報がその担当者の頭の中だけに記憶され、引き継ぐべき情報が欠落してしまうというケースが散見されます。
運用・保守作業には、数年先などの適切な作業時期が到来しないと実施できないものや、細かい作業のため見落としてしまうものもあります。運用・保守フェーズに発生する膨大なタスクを抜け漏れなく管理するためには、ツールの導入等も検討し、職員や運用・保守事業者が交代しても確実に継承されるような工夫が必要です。
- 事例9-11
担当者の交代により次年度で必要な作業が漏れてしまった
事例:担当者の交代により次年度で必要な作業が漏れてしまった ある府省の運用・保守フェーズにある情報システムの運用・保守定例会議において、運用・保守事業者より、あるサーバのOSのバージョンアップに伴い、ミドルウェアにパッチ適用が必要になるという報告がありました。ただし、そのOSのバージョンアップは次年度以降の予定という情報のみで、具体的な時期については未確定のため、パッチ適用の具体的な作業時期は確定できない状況でした。報告を受けたPJMOである職員Aさんは、OSのバージョンアップ時期が確定した段階で、改めて対応を検討することにしました。  その後、職員Aさんは異動することになり、職員Bさんが後任となりましたが、年度が変わっても同一の運用・保守事業者が継続することになったため、職員AさんはBさんへの引継ぎは重要なポイントに絞って行いました。 年度が変わってしばらく経過した後、あるサービスが停止してしまいました。そのサービスを提供しているアプリケーションが稼働しているサーバのミドルウェアが起動しなくなったのが原因でした。更に調査したところ、トラブルの前日にサーバのOSをバージョンアップする作業を行っていたことが判明しました。本来はこのバージョンアップに伴い、前任のAさん担当時に報告されていたミドルウェアへのパッチ適応作業が必要だったのですが、対応が漏れてしまいました。  前任のAさん担当時に報告された時点で、パッチ適用作業について、運用・保守事業者に継続調査事項として管理するよう指示し、作業が完了するまで関係者が認識できるように記録した上で状況を確認するようにしておけば、このような重要な作業の抜け漏れは発生しませんでした。 |
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事業者が交代するとノウハウやドキュメント化されていない情報が抜け落ちてしまうことで作業効率が下がるリスクがあります。また、場合によっては、事業者が情報を持ち逃げするリスクもあり、持ち逃げされた情報を取り戻すために費用が発生するような事例すらあります。
このような事態を避けるためにも、職員や運用・保守事業者の交代時には、以下の点に注意して、情報が抜け落ちてしまうことを防ぎます。
職員や事業者の交代の際に気をつける点
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計画時点で作業に対する成果物を明確化する。作業を実施する場合は、基本的に作業手順書を作成し提出するよう、合意する。
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中間成果物となるようなドキュメント・コンテンツは、維持が必要なもの、維持が必要ないものを明確にしていく。
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運用・保守作業に関係する事項は、職員や事業者の特定の担当者が抱え込むことなく、必ずその作業を担当する事業者が管理するドキュメントに記載し管理する。
デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン
実践ガイドブック
(第3編第10章 システム監査)
目次
事例・参考の一覧
※事例には当時の役職名やシステム名を使用しているため、現在使用されていない名称が記載されている場合があります。