Step.3 RFIの実施

RFI(Request For Information)は、情報システムに関する様々な情報を収集するために事業者に対して、構築しようと考えている情報システムに関わる、技術的な情報や動向、参考事例等の提供を依頼する活動です。

ただし、RFIを実施するために必要な資料の準備やスケジュール等、進め方の要点を捉えずに実施すると、有益な情報を十分に得られないこともあります。

このStepでは、RFIを実施するに当たり、何に気をつけて準備を行い、取得した情報を使って、どのように資料を更新していくかについて解説していきます。

RFIを理解し、必要な資料を準備する

【標準ガイドライン関連箇所:第3編第5章第1節1)】

RFIでは、主に具体的な調達を想定して必要な情報を収集します。必要な情報が集まるかどうかは、情報提供を依頼する事業者に対して、こちらが何を考え、どのようなことを実現しようとしているかを正確に伝えるかどうかに掛かっています。

ここでは、RFIに向けて資料を準備する際のポイントについて、見ていきましょう。

RFIの意義と用途を理解する

要件定義に必要な情報は、世の中の技術動向やサービスの動向、各種事例、要件を実現する方式に関するものなど多岐にわたり、担当者の知識や経験のみで網羅的かつ詳細に把握することは困難です。

しかし、必要な情報を入手しないまま要件定義を行った場合は、費用対効果に優れた手法を採用できない、優れた先進事例を取り込むことができない等のリスクがあり、さらには、その後の調達手続や設計・開発段階において、入札における不落や開発の手戻り等が発生することになります。

そのため、RFIを通じて必要な情報を入手し、要件を実現する上で必要な解決策や技術的な課題等を明確にしていきます。

RFIは、例えば以下のような情報を入手するために行います。

RFIで求める情報の例

  • 市場にあるサービスの種類及びその動向

  • 海外や国内の類似の事例とその教訓

  • 新たな技術の動向や製品のライフサイクル

  • 想定する要件を実現する方式とその実現可能度や制約事項

  • 概算の予算規模

  • 大まかな工程やスケジュール

  • 著作権や法的な制約

  • 実現に際してのリスク 等

RFIは、その用途に応じて、プロジェクトの様々なタイミングで活用することが可能です。新たなサービス・業務を開始するプロジェクトにおけるRFIのタイミングの例を、以下に示します。大規模なプロジェクトでは、最新のサービス・技術の採用や計画の妥当性の確認を十分に行う必要があるため、サービス開始年度の3ヵ年前を目安として情報収集を始めることを推奨します。

  • 図5-1

RFIのタイミング例

  • 注記

80万SDRの円貨換算額は、令和8年3月末までは1億4,000万円である。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chotatsu/pdf/sdr_rate_r60124.pdf

令和8年4月1日以降の最新情報は、内閣官房の「政府調達に関する自主的措置におけるSDR基準額の円貨換算レート」を参照すること。(https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/chotatsu/index.html

  • 参考5-1

RFI(資料提供依頼)、資料提供招請、意見招請の関係

RFIに必要な資料を準備する

RFIでプロジェクトの成功に向け役に立つ情報を入手するためには、発注者側がどのような事を考え、何をしようとしているかを正確に伝えるため、RFIのために資料を準備する必要がありますが、この資料作成に負担を感じ、RFIを見送ってしまうという判断をしてしまうかもしれません。

しかし、資料の作成は、ポイントを押さえて、これまで収集・作成した資料を活用すれば、それほど難しいことはありません。以下に、RFIに必要な資料とその作成ポイントを示します。資料では意図が伝わりにくいこともあるため、説明会や個別ヒアリングを合わせて行うことも検討しましょう。

  • 表5-1

調達に必要な資料

資料の種類ポイント
調達の概要事業者がプロジェクトの目的・概要・RFIの概要等の全体像を把握するための資料で、プロジェクト計画書から政策目的、目標、サービス・業務企画の方向性等を集め、資料をまとめます。サービス・業務企画や予算要求で業務や情報システムの概要資料を作成している場合は、それを利用することで事業者が全体像を効率的に把握する役に立ちます。
その時点における検討内容、要件案の概要等サービス・業務企画で作成する要件定義書の「業務要件定義」やRFI時点の要件定義の定義書を利用します。未確定の項目や提案を求める項目については、その旨を明記しましょう。また、前提条件や制約等がある場合は、必ず記載してください。
資料提供を求める内容等RFIの趣旨(何の情報を何のため求めているのか)、RFIで求める内容を記載します。要件定義書の未確定の項目や提案を求める項目をサマリすると事業者が網羅的に検討しやすくなります。
提出期限、提出場所、提出方法、提出資料における知的財産の取扱い等各府省のルールを確認し、過去のRFIの記載を参考にすると効率的に作成することができます。

公平性等を確保したヒアリングを行う

【標準ガイドライン関連箇所:第3編第5章第1節2)】

RFIを行うほど要件が確定していない場合等には、事業者に対して説明会や個別ヒアリングを行い、情報を収集する方法があります。事業者と直接ヒアリングすることは、資料では伝わりにくい目的や意図を伝えるのに有効です。しかし、発注前ヒアリングについても、RFIと同様に公平性・競争性を確保する必要があるため、RFIと同様に標準ガイドラインのルールに従うとともに、「政府調達手続に関する運用指針」(平成26年3月31日関係省庁申合せ)を

  • 注記

    「政府調達手続に関する運用指針」(平成26年3月31日関係省庁申合せ)

参考にしてください。

収集した情報を基に資料を更新する

【標準ガイドライン関連箇所:第3編第5章第1節3)】

RFIや発注前ヒアリングの結果、有用な情報が集まりました。これらを踏まえて、要件定義を始めましょう。でも、ちょっと待ってください。その前に一手間加えるだけで、要件定義が効率的に行えるようになります。

では、要件定義を行う前のちょっとした工夫を見ていきましょう。

RFIや発注前ヒアリングの結果を整理する

RFIにて複数の事業者から入手した資料や事業者とのヒアリング結果は、それぞれが独立した資料として残っているはずです。要件定義で入手した情報を十分に活用するためには、以下の観点で情報を整理し、資料としてまとめます。また、整理した結果から、より費用対効果が高い実現方式の検討や、リスク定義への追加等を行い、プロジェクト計画の変更を検討し、必要な更新を行います。

結果を整理する観点

  • 複数事業者の情報を内容ごとに比較し、メリット、デメリットを評価する。事業者の提案はメリットを中心に行われるため、デメリットにも目を向けて評価する。

  • 費用、目的との適合性等の複数の軸で総合評価する。

既存の資料を最新化する

既存のサービス・業務や情報システムは、プロジェクトが進行している最中にも改善や機能追加が行われる可能性があります。既存のサービス・業務や情報システムの資料はサービス・業務企画時点で収集しますが、要件定義を開始する時点で最新化を行いましょう。調達後に変更内容が判明した場合は、追加のコストがかかる可能性がありますので、留意してください。