Step.5 予算要求に必要な資料の準備
予算要求には様々な資料を作成しなければならず、作業負荷が高いと感じる方も多いかもしれません。確かに、複数の資料を作成することが必要になりますが、これまでの検討過程の資料をうまく取りまとめることが主体であり、予算要求のためだけに新たな検討を行う部分は少ないと言えます。
一方で、予算要求の過程では短期間で多くの関係者に対してプロジェクトの目標や予算の必要性等を理解してもらう必要があるため、要点をわかりやすく表現することが求められます。また、わかりやすい資料を作成することで、事業者からも有意義な提案を受けて的確な見積りを取得することが可能になります。
どのように予算要求に必要な資料をまとめればよいか、そのポイントと注意点を解説します。
- 全体像と要点の明確化
【標準ガイドライン関連箇所:第3編第3章第2節】
まず、資料を作り出す前に一呼吸を置いて、頭を整理してみましょう。
説明資料を作成する人は、プロジェクトの背景や状況を詳しく知っているため、そのような大前提の説明を飛ばしてしまい、プロジェクトが直面している課題だけにフォーカスを当てがちです。
他方、説明を受ける側は、そのプロジェクトに対する知識が全くない場合があります。そのため、「素人でも理解できるように」このプロジェクトを理解してもらえるようにするにはどうすれば良いかを考えて作成することが必要です。
プロジェクトの内容を第三者に正確に伝えるためのコツは、「全体」から「詳細」につながるような構成で説明することです。まず、サービスや業務の全体を俯瞰した視点を示し、目指している目標を明らかにした上で、その中で今回のプロジェクトがどの範囲なのか、今回の予算要求対象がどの範囲なのかと順を追ってクローズアップしていく構成にすることで、資料の読み手に対して正確にプロジェクトの姿と予算の必要性を伝えることができます。
- 図3-4
全体を俯瞰した視点のイメージ
資料の読み手は、予算要求内容を確認する担当者(PMO、デジタル庁、財務省主計局)だけではありません。PJMO内部の職員も、利用者や関係者等のステークホルダーも、見積り依頼先の事業者も重要な読み手です。読み手によって、関心のポイントが異なる部分もありますが、どの読み手も共通して知りたいのがサービスや業務の全体像です。プロジェクトの前提を間違えて捉えると、的確な判断ができないからです。
また、これらの資料は、PJMO内部やステークホルダーに対しても、プロジェクトの目標や全体像を共有するための良いツールとなります。
プロジェクトとして、これらの全体像がわかる資料をわかりやすく整理するとともに、プロジェクトの進捗や変化に応じて資料内容をバージョンアップする活動を日常的に行うことで、予算要求に限らず、様々な状況でプロジェクトの状況説明を円滑かつ効率的に行えるようになります。
- 予算要求資料の作成上の注意点
【標準ガイドライン関連箇所:第3編第3章第3節】
予算要求で作成する資料の詳細については、事務連絡等をご参照いただくこととして、ここでは、主な資料について、作成上注意した方が良いポイントを解説します。
- 「予算要求の概要」の作成ポイント
予算要求の概要は、プロジェクト計画書の内容を前提に、予算要求を行う範囲についての目標、内容、スケジュール、体制等を要約した資料です。
この資料は、予算要求の過程の中で、様々な関係者が真っ先に確認する資料となります。前述したように全体像と要点を明確化して、簡潔に理解できるように工夫しましょう。
作成時に気をつける点
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全体像と目標の明確化 サービス・業務観点からの全体像と現時点の問題発生状況を明らかにした上で、プロジェクトの目的・目標を示し、サービス・業務の改善後の実現像を示す。
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具体的な改善内容の明確化 改善を実現するために必要となる事項として、サービス・業務の改善内容、制度や業務ルールの改善内容、情報システムの改善内容を明確にする。 (情報システムの改善だけの目線にならないように留意する)
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主要なスケジュールの明確化 全体スケジュールを作成し、新しいサービス・業務の開始時期を明示するとともに、情報システムの主要な整備スケジュール(要件定義、調達、設計、開発、テスト等)、関連する制度変更のスケジュール、サービス・業務の変更のための手続等を明確にする。
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体制とステークホルダーの明確化 プロジェクトの体制や、主要なステークホルダーへの影響有無を記述する。また、難易度の高い調整が発生する場合に、今後の調整方法(各ステークホルダーへの調査やヒアリングを通して詳細な分析を行う、ステークホルダーの責任者を集めた会議体を設置する等)を明らかにする。
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前提条件や制約の明確化 プロジェクトを推進する上での前提条件や制約がある場合は、その主要なものについて記述する。また、前提条件や方針等に不明確な箇所がある場合は、この資料にまとめて記述する(業務の説明資料、情報システムの説明資料等の個々の資料にも記載した上で、この資料にまとめる)。
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費用対効果の考え方の明確化 情報システムの整備を行う予算要求をする際には、情報システムの整備により得られる効果を明確にする。この「効果」については、恩恵を受ける対象ごとに適切に設定されている必要がある。特に行政サービスの場合は効果の対象が国民であること、また、このような効果はいつまでにどのように把握するのか明確になっていることが重要である。さらに、累積効果がプロジェクト期間全体の投資額(予算要求する経費の総額)を上回るまでの回収期間について明確にする。 (累積効果については、第4章サービス・業務企画Step.5-2-G.「精緻に効果を積算し、主要な効果を実感可能なものとする」において解説する)
- 「サービス・業務の説明資料」の作成ポイント
プロジェクトが前提としているサービス・業務の概要を説明する資料です。
サービス・業務の現状分析や検討方法の詳細については、「第4章 サービス・業務企画」で詳述します。サービス・業務企画での詳細な検討成果を、予算査定に係る様々な関係者にわかりやすく伝えるため、業務自体の概要、業務全体を示す業務フロー(概略)を1枚から数枚程度で簡潔に説明したものが、ここで作成する資料となります。
- 図3-5
業務概要図

作成時に気をつける点
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業務(情報のやりとり)が発生する主体を明確化し、矢印等を使ってやりとりする内容を明確にする。
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管理指標と現在の達成状況について、定量的に記述する
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顕在化している課題を記述する
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異なる主体であっても業務や取り扱う情報等に共通点がある場合には、一括して記述するなど、図が難解にならないようにする