Step.6 概算要求に向けた調整

概算要求に向け、府省内外からの様々なチェックを通過して行かなくてはなりません。これらに対応する労力は掛かりますが、事前に作業スケジュールを把握し、必要とされる資料を準備し、発生するやり取りとその目的や効果を理解することで、軽減することができます。

A. PMOによる調整

PMOはデジタル庁からの連絡・指示に基づき概算要求額の調整を行うことになります。

府省によって確認対象や実施スケジュール等は異なりますが、PJMOが作成した予算要求内容をデジタル庁(または、一括計上対象外システムにあっては各府省会計担当部門)に提出する前に、基本的にはPMOによる事前ヒアリングが行われます。事前ヒアリングでは、PMOの職員が専門的見地から様々な内容の確認・調整を行います。例えば、以下のような項目です。

  • 政府方針や府省方針等との整合性

  • 利用者視点の効果、サービス・業務改革(BPR)等の検討十分性

  • 省内、省外情報システムとの機能重複回避、共用・統合の推進

  • 見積積算方法の妥当性、経費水準の妥当性

  • CPU使用率等の現状分析に基づいたサイジングの適切性の確認

  • ライフサイクルコストとして将来発生するコストの確認

  • セキュリティポリシーとの整合性、サポート期限の対応網羅性の確認

  • バックアップ機能、ディザスタリカバリ(DR)等、信頼性確保状況の確認

  • 投資計画の妥当性の確認

  • 概算要求金額の調整

  • 参考3-7

    ライフサイクルコストを考慮した予算要求

参考:ライフサイクルコストを考慮した予算要求

オンプレミスで構築した情報システムからクラウドサービスへ移行したり、特定ベンダーの技術に依存したOS・ミドルウェア等からオープンな製品に乗り換えたりすると、現行システムの基盤部分を同じ構成のままで更改するのに対して初期コストが高額になりがちです。

しかし、このような移行や乗り換えを適切に行えば、初期コストは高額になっても、改修コストや運用保守コストが削減でき、情報システムのライフサイクルコスト全体で見るとコストを低く抑えることができる場合があります。

例えば、クラウドサービスでは、仮想化レイヤまでのパッチ適用、ハードウェアの定期点検、計画停電等が不要となります。加えて、マネージドサービス(ストレージ、データベース、セキュリティ対策、運用管理等の仕組みを、従量課金のサービスとして利用できるもの)の活用で運用・保守作業の対象を減らし、自動化機能で運用・保守作業を自動化して運用・保守コストを削減できます。また、オンプレミスのようにハードウェアのリース期間や耐用年数の制約がないため、更改のサイクルを5年より長くして、更改にかかる費用を抑えることができます。

特に、当該情報システムが取り扱う制度が恒久的に続くものである場合、ライフサイクル期間は長くなり、初期に大きなコストを要したとしても、運用期間中のコストの差が積み上がって、長期的には回収できる可能性が高まります。

このように、クラウドサービスへの移行に際しては、情報システムの特性や現行システムの契約内容に鑑み、業務改革やリース期間満了のタイミングで移行するなど、ライフサイクルコストの観点からしっかり分析することが必要です。

初期コストが高額となっても、ライフサイクルコストでは安くなるイメージを以下に示します。このイメージでは、オンプレミスの現行システムをクラウドサービスへ移行する際に、現行システムをできるだけ改修しないように移行(リホスト)すると、抜本的な刷新、再構築によりクラウド環境に最適化して移行(リビルド)する場合に比べ、初期コストを安く抑えられています。しかし、リビルドした方が、前述のような運用・保守コスト削減が可能となるため、ライフサイクルコストは安く抑えられています。

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  • 注記

マイクロサービスとは、小さな複数のサービスを連携させてアプリケーション全体を構成する開発手法のこと。各サービスは独立性が高いため、改修時の影響範囲が局所化される。

B. デジタル庁による調整

デジタル庁は、一括計上対象の情報システム経費予算全体額について、後年度負担額を含め、各府省の優先順位やレビュー結果、政府全体の方針等を踏まえ、概算要求基準に基づき調整し、概算要求額を決定します。

デジタル庁が特に重要と考えている情報システムについては、デジタル庁が直接ヒアリングをし、その内容を精査することになります。

外部からの視点で確認し、より専門的・客観的に評価することが目的です。事前ヒアリングで使用した資料等を活用して、十分な説明ができるよう準備してください。