AIの利活用促進とAIガバナンスの強化及び推進のための体制構築

4.1 政府全体のAIの利活用促進とAIガバナンスのための体制構築

4.1.1 先進的AI利活用アドバイザリーボードの開催・AI相談窓口の運用等

政府横断で効果的・安全な生成AIプロジェクトの推進を行うため、AIの制度、利活用、リスク管理、サイバーセキュリティ等に高度な知見を有する有識者(民間有識者と政府職員の双方を含み得る)等からなる「先進的AI利活用アドバイザリーボード」を開催し、デジタル庁が事務局機能を担うこととする。

「先進的AI利活用アドバイザリーボード」は、デジタル庁の他、AISI(AIセーフティ・インスティテュート)がアドバイザリーボードの構成員や事務局機能への参画を通じその知見や機能を生かした役割を果たすことによる効果的運営を行う。

 「先進的AI利活用アドバイザリーボード」は、以下の役割を担う。

  • 各府省庁における生成AIの調達・利活用状況の把握

  • 各府省庁の高リスクに該当する可能性の高い生成AIの調達・利活用に係る評価及びリスク緩和のための助言

  • 各府省庁における生成AIの調達・利活用のベストプラクティスの把握・発信

  • 各府省庁で発生した生成AIシステム特有のリスクケースの把握、再発防止のための助言

  • 各府省庁における生成AIの効果的な利活用や、生成AIシステムの機能性や品質及び費用対効果の向上のための助言(AI利活用について高度な知見や豊富な経験を有する有識者や政府職員のリスト化や紹介の機能を含む。)

  • 本ガイドラインの見直しの検討

先進的AI利活用アドバイザリーボードは、政府全体の生成AI施策の動向やガイドラインの運用状況を踏まえ、関係府省庁等と連携を行いつつガイドラインの見直しを行う。また、デジタル庁は、関係府省庁連絡会議として、「各府省庁AI統括責任者(CAIO)連絡会」を開催し、先進的AI利活用アドバイザリーボードでの議論等について紹介するとともに、各府省庁における生成AIシステムの利活用状況やガバナンスの状況、生成AIシステムに関する注意喚起等の必要な情報提供を行うこととする。

あわせて、デジタル庁は、各府省庁からの生成AIの調達・利活用や本ガイドラインの運用に関する質問・相談を受け付けることとし、「AI相談窓口」として運用を行う。

「AI相談窓口」は、以下のような各府省庁の相談を受け付け、技術的・専門的観点から、機動的に各府省庁による生成AIの効果的な利活用を実現するために必要な支援・助言を行う。

  • ガイドラインの内容に関する問合せ

  • 生成AIを活用した行政事務の効率化・行政サービスの高度化等の手法や技術的側面に係る相談

  • 高リスクな生成AIシステムに該当するか判断に迷う事案についての相談

  • その他、リスク軽減に関して生成AIシステムの企画や調達上留意すべき点についての相談

さらに、デジタル庁のAI有識者/担当職員等が、デジタル庁が各府省庁に派遣している専門人材とも連携して、各府省庁のプロジェクトにおける生成AI利活用について必要に応じて支援する体制も整えていく。

4.1.2 デジタル庁の統括監理におけるチェック

デジタル庁は、「デジタル庁設置法」(令和3年法律第36号)第4条第2項第17号に基づく国の情報システムの整備・管理に関する事業の統括監理(一元的なプロジェクト監理)の一環として、各府省庁における生成AIシステムの導入予定、生成AIシステムのリスク対応の状況等について確認を行うとともに、その状況を「先進的AI利活用アドバイザリーボード」に共有する。

4.2 各府省庁におけるAIガバナンス体制の整備

4.2.1 各府省庁におけるAI統括責任者(CAIO)の設置

各府省庁において生成AIシステム調達契約のチェックを本ガイドラインに基づき行うことを含め、生成AIシステムのライフサイクルを通じた生成AIシステム統括監理の体制整備等を行う。

具体的には、各府省庁は、AI統括責任者(CAIO)を設置し、各府省庁における、生成AIシステムの企画、行政データの取扱い、調達、利活用、運用、生成AIシステム特有のリスクケース等の状況を一元的に把握し、生成AIの適切な調達・利活用に係る取組を行う。

AI統括責任者(CAIO)は、各府省庁における生成AIの利活用を各府省庁の業務において積極的に進めるとともに、各府省庁におけるAIガバナンスの構築及び実践の司令塔として、生成AIシステム把握、適切なリスク管理の徹底、生成AIシステム特有のリスクケース対応、政府職員のAIリテラシー向上に向けた研修、アドバイザリーボードへの報告の要否の決定等を行う。

AI統括責任者(CAIO)は、当該組織における総合的・計画的な行政デジタル化の推進を統括する責任者であるデジタル統括責任者の役割のうち、AI分野に係る役割を担う。このため、AI統括責任者(CAIO)は、各府省庁における「デジタル統括責任者」又はデジタル統括責任者の業務を補佐する「副デジタル統括責任者」級の政府職員が想定される[^19]。

4.2.2 先進的AI利活用アドバイザリーボードへの報告

各府省庁のAI統括責任者(CAIO)は、随時各府省庁内における生成AIシステムの運営状況及び利活用の状況を一覧的にとりまとめ、その状況を定期的に(四半期に一度程度の頻度を目安とする)「先進的AI利活用アドバイザリーボード」へ報告を行うこととする。

また、各府省庁のAI統括責任者(CAIO)は、企画者と連携しつつ、「3 政府における生成AIの利活用方針」のとおり、生成AIの利活用プロジェクトの企画時において、適切なリスク評価を行い、高リスクの可能性がある生成AIシステムについては、当該プロジェクトの内容・目的、リスク軽減策や運用時を含めた品質確保策等を先進的AI利活用アドバイザリーボードへ報告する。 

また、プロジェクトの企画時に限らず、構築時、リリース時、運用開始後も含め、事情変化等により高リスクに該当する可能性が生じた場合や、企画時には生成AIの利活用を認識しておらず、リリース時や構築後に生成AIの利活用を認識し、かつ、高リスクに該当する可能性が生じた場合にも、先進的AI利活用アドバイザリーボードへ報告を行うこととする。

なお、生成AIシステムの利活用が高リスクに該当するか否かについては、各府省庁においてリスク評価の結果を踏まえて判断(AI統括責任者(CAIO)が最終決定)することとするが、「先進的AI利活用アドバイザリーボード」から求めがあった場合は、各府省庁は当該プロジェクトについて、必要な報告を行うこととする(「図2 政府のAI調達・利活用に係るガバナンス体制の概要」参照)。[^20]