はじめに
1.1 背景
AI関連技術は日々発展し、産業におけるイノベーション創出や社会課題の解決に向けたAIの活用が官民で急速に進展している。
こうした中、令和5年のG7(議長国:日本)では、安全、安心で信頼できるAIの実現に向け、「高度なAIシステムを開発する組織向けの広島プロセス国際指針」[^1]、「高度な AI システムを開発する組織向けの広島プロセス国際行動規範」[^2]及び「全てのAI関係者向けの広島プロセス国際指針」[^3]が策定されたほか、国連、欧州評議会、OECD等の多国間の枠組みにおいても、AIガバナンスに関する議論が活発に行われている。また、諸外国の政府機関等においても、政府内での適切なAIのガバナンスの確保や、リスク管理を行いながら、積極的にAIの活用を進めるためのルール整備が進む等、着実に環境整備が進められている。
我が国でも、技術、そして、技術を利活用した社会の変化に迅速かつ柔軟に対応するため、事業者等の自発的な取組を支援するための「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」(令和8年3月31日 総務省 経済産業省。以下「AI事業者ガイドライン」という。)[^4]や、「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(令和7年法律第53号)[^5]、同法に基づく「人工知能基本計画」(令和7年12月23日閣議決定)[^6]及び「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」(令和7年12月19日 人工知能戦略本部決定。以下「AI指針」という。)[^7]を策定する等、AIの安全・安心な利活用に向けた取組を進めている。
また、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和6年6月21日閣議決定)[^8]においても、AIに関して、生成AIを含むAIの様々なリスクを抑え、安全・安心な環境を確保しつつ、イノベーションを加速する好循環の形成を図っていくこととされ、イノベーション推進のためにも、ガードレールとなるAI利活用の安全・安心を確保するためのルールが必要とされたところである。
さらに、各府省庁では、様々な業務への生成AIの活用の検討が進められるとともに、デジタル庁においては、行政の課題をAIで解決することを目指した「AIアイデアソン・ハッカソン」や生成AIシステムの各種検証事業等を行いながら、ユースケースの発掘や実用化のための試行環境等を用いた検証が進められ、利活用促進に向けた取組も政府全体で進められているところである。
本ガイドラインは、政府の様々な業務への生成AI[^9]の利活用促進とリスク管理を表裏一体で進めるため、政府におけるAIガバナンスやベストプラクティスの共有体制、生成AIの調達・利活用において留意すべきリスク等についての考え方、政府が利活用する生成AI全体の機能性や品質及び費用対効果の向上等について、AI指針を始め、AI事業者ガイドラインや「政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群」[^10]等既存のガイドライン及び諸外国政府のルールの動向等を踏まえ整理し、国の政府職員向けのガイドラインとして示すものである。
1.2 本ガイドラインの位置付け
本ガイドラインは、デジタル社会推進標準ガイドライン群[^11]のうち規範として遵守するドキュメントの一つとして位置付けられる。
1.3 用語
本ガイドラインにおける用語は、表1及び本ガイドラインに別段の定めがある場合を除くほか、標準ガイドライン群用語集の例による。