総論

標準ガイドラインについて

背景及び目的

今や政府情報システムは、単なる行政事務処理上の道具ではなく、行政運営の中核を成す基盤として存在するに至っている。さらには、デジタル技術は社会構造の変革の強力なツールとなっており、これまでの延長線上での改善ではなく、デジタル技術が国民生活やビジネスモデルを根底から変える、新しい社会が到来している。

このような中、デジタル技術を徹底活用し、行政内部における行政サービスの利便性の向上並びに行政運営の効率性及び透明性の向上を実現するだけでなく、官民協働を軸として、行政サービスを改善し、デジタル社会に対応したデジタル・ガバメントを目指すことが求められている。

こうした状況を踏まえ、政府は、行政の縦割りを打破し、大胆に規制改革を断行するための突破口としてデジタル庁を創設することを柱としたデジタル改革について検討を加え、令和2年(2020年)12月25日、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(平成12年法律第144号。以下「IT基本法」という。)の見直しの考え方やデジタル庁設置の考え方について政府の基本的な方針を盛り込んだ「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定した。その後、この方針等を踏まえ、デジタル社会形成基本法案及びデジタル庁設置法案を中心としたデジタル改革関連法案が、令和3年2月9日に閣議決定、国会に提出され、国会審議を経て5月12日に成立、デジタル社会形成基本法(令和3年法律第35号)及びデジタル庁設置法(令和3年法律第36号)は9月1日に施行されることとなった。また、「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」では、デジタル社会の目指すビジョンとして「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」を掲げ、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和3年12月24日閣議決定)では、このような社会を目指すことは、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」を進めることにつながるとしている。

デジタル・ガバメントへ変革していくためには、デジタル庁を中心として、各府省のデジタル統括責任者及び副デジタル統括責任者のそれぞれがリーダーシップを発揮し、「共通ルール」の下で、各府省及び政府全体のITガバナンスを強化し、価値を生み出すことが重要であり、サービス・業務の状況や政府情報システムに関する詳細な情報を逐次把握するとともに、サービスの向上、業務の効率化及び高度化、官民データ活用推進基本法(平成28年法律第103号)の目的にもある情報システムに係る規格の整備及び互換性の確保、情報セキュリティを含む情報システムの運用リスクへの適切な対応等、具体的な取組を政府横断的に進める必要がある。

以上を踏まえ、「デジタル社会の実現に向けた重点計画」等に基づき、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理について、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める体系的な政府共通のルールとして、「デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン」を策定する。

標準ガイドライン群の整備について

サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関しては、多岐の分野に渡っており、かつ、専門的な上、技術の進展が著しい。このため、標準的で整合的なルールの下、PMO及びPJMOが、政府情報システムを取り巻く状況や専門技術を十分に理解して、推進していくことがプロジェクトの成功にとって重要である。

このため、標準ガイドライン群の整備については、次のとおりとする。

体系

標準ガイドライン及びこれに関連する指針類等に係る文書体系は、次のとおりとする。これらの文書体系を標準ガイドライン群と総称する。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン

サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関して、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める体系的な政府の共通ルールである。「標準ガイドライン」と略称する。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン附属文書

標準ガイドラインの下位文書として、サービス・業務改革並びに政府情報システムの整備及び管理に直接関係する内容のうち、特定の分野に関する内容について、その手続・手順に関する基本的な方針及び事項並びに政府内の各組織の役割等を定める政府の共通ルールである。「標準ガイドライン附属文書」と略称する。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン解説書

標準ガイドラインの下位文書として、標準ガイドラインの記載の趣旨、目的等を理解しやすくするため、逐条的な解説等を記載した参考文書である。「標準ガイドライン解説書」と略称する。

デジタル・ガバメント推進標準ガイドライン実践ガイドブック

標準ガイドライン、標準ガイドライン附属文書、標準ガイドライン解説書の下位文書として、これまでに得られたノウハウや教訓等を盛り込んだ実践的な参考文書である。

技術レポート

サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に係る特定の技術において、PJMOの各部門の対応を容易にし、又は政府全体で統一的に行うため、政府全体で取り組むべき課題に対する対応等をまとめた参考文書である。

その他関連文書

1)から5)までに掲げるもののほか、標準ガイドラインに関連する各種文書が体系下に含まれる。

整備に係る基本的な考え方

デジタル庁及び各府省は、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関する指針類を作成し、又は改定するときは、指針類の体系的整備並びに整合性及び参照性の確保を図る観点から、次に掲げる事項に留意するものとする。

標準ガイドライン群の整備について

(1) デジタル庁は、標準ガイドライン群の体系下にある文書の整合性を確保すること。

(2) デジタル庁は、標準ガイドライン群の体系下にある文書を効率的に管理するため、ナンバリングを付してリスト化し、Webサイトに公表すること。なお、公表することにより、その文書を作成した目的を達成することが著しく困難になるおそれが具体的にあるときは、非公表とすること。

(3) デジタル庁は、「第3章2.適用の状況等の確認と反映」の結果、デジタル・ガバメントに関する方針及び計画、政府情報システムを取り巻く技術の進歩、社会の動向等を踏まえ、標準ガイドライン群を策定又は改定し、継続的に改善すること。その際、事例の蓄積・更新(入替え)をし、標準ガイドライン群を使用する担当者の理解の深化、利便性の向上等に資すること。また、改定履歴を付すること。

(4) 各府省は、標準ガイドライン及び標準ガイドライン附属文書と自府省のサービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理に関する指針類との整合性を確保すること。

情報セキュリティ対策との関係について

(1) デジタル庁及び内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)は、標準ガイドライン群と政府機関等のサイバーセキュリティ対策のための統一基準群との整合性を確保すること。

(2) 各府省は、標準ガイドライン群と自府省の情報セキュリティポリシーとの整合性を確保すること。

策定又は改定手順

デジタル社会推進会議幹事会の決定

デジタル社会推進会議幹事会において、標準ガイドライン若しくは標準ガイドライン附属文書を策定し、又は改定しようとするときは、デジタル庁は、検討の内容、策定、改定の実施予定時期等を各府省に提示するとともに、その内容を踏まえた十分な調整時間を確保するよう努めるものとする。

各府省による改善の提案

各府省は、デジタル庁に対し、標準ガイドライン群の改善について提案することができる。

周知及び説明

デジタル庁は、標準ガイドライン群の適用及び活用を一層推進するため、その周知及び説明に努めるものとする。

適用

標準ガイドライン及び標準ガイドライン附属文書の適用については、次のとおりとする。

適用対象

標準ガイドラインは、政府情報システムに適用するものとする。また、各府省が所管する政府情報システムに標準ガイドラインを適用するに当たり、情報の取扱いに重大な懸念があると判断する場合はデジタル庁に遅滞なく相談し所要の調整をするものとする。標準ガイドライン附属文書の適用対象は、それぞれに定めるところによる。

適用の状況等の確認と反映

デジタル庁は、サービス・業務改革並びにこれらに伴う政府情報システムの整備及び管理の実態を的確に把握するため、各府省の協力を得て、標準ガイドライン群の適用及び活用の状況を確認した上で、必要に応じて標準ガイドライン群へ反映するものとする。

用語

標準ガイドライン群における用語の意義は、標準ガイドライン群用語集及び次に掲げる留意事項のとおりとする。ただし、標準ガイドライン群各文書中に用語集と異なる定義をするときは、当該文書中に、標準ガイドライン群用語集と異なる定義であることが明確となるように記載するものとする。なお、文中に参照しやすいよう注記等にて用語集と同様の定義を記載する場合がある。

標準ガイドライン群用語集及び標準ガイドライン群各文書中に用語の定義をしていないものは一般的な用語の意義を用いるものとする。

用語の定義に関する留意事項

プロジェクト

標準ガイドライン群におけるプロジェクトの最小単位は、政府情報システムを整備して行うサービス・業務とし、その期間を当該政府情報システムのライフサイクル期間とすることを基本とする。

なお、作業の管理を適正に行うために一つのプロジェクトを階層化し、それぞれをサブプロジェクトとして扱うことができる。