第1章 本仕様書について

1.本仕様書の構成

第1章では、本仕様書の対象及び内容について記載している。

第2章では、第3章で規定する機能要件が業務上どのように位置づけられ、有効に機能するのかについて地方自治体及び事業者の共通理解を促すため、それらに対応したモデル的な業務フローを示している。ここで示した業務フローは、実際の各地方自治体における業務フローを拘束するものではないが、現在の業務フローでは、本仕様書における機能要件どおりの機能で業務を行うことが難しいと考える地方自治体は、現在の業務フローを本仕様書に示す業務フローに寄せることで、本仕様書における機能要件どおりの機能で業務を行うことが期待される。

第3章、第4章及び第5章では、それぞれ、国民年金システムが備えるべき機能・帳票要件、データ要件・連携要件及び非機能要件について記載している。

第6章では、本仕様書において用いている用語について、解釈の紛れがないよう定義している。

2.対象

  1. 対象自治体

本仕様書の対象自治体は、全ての市区町村とする。なお、本仕様書における「市区町村」の区とは、特別区のことである。

  1. 対象分野

国民年金業務において、国民年金システムに関連するシステムは市区町村内のシステムに留まらず、外部機関のシステムも多数関係している。

図1-1 国民年金システムと関連するシステムの全体イメージ

本仕様書が規定する対象分野は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第二条第一項に規定する標準化対象事務を定める政令(令和4年1月政令第1号)第17号及び地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第二条第一項に規定する標準化対象事務を定める政令に規定するデジタル庁令・総務省令で定める事務を定める命令(令和4年1月デジタル庁令・総務省令第1号)第16条に定めるとおりとする。なお、事務運用の実態等を勘案し、以下のとおり、範囲内外を整理している。

  1. 法定受託事務のほか、協力連携事務のうち市区町村にて行われる相談業務及び日本年金機構(以下、「年金機構」という。)に対する情報提供業務は標準化範囲内として扱う。一方、その他の協力連携事務のほか、各市区町村が独自に実施している事業等は、地域の実情に応じ、住民サービス向上のため市区町村が創意工夫してサービスを実施しているものであることから、標準化範囲外とする。

  2. 国民年金システムにて運用する部分は標準化範囲内として扱うが、住民記録システム等の他システムで運用する部分(※)は標準化範囲外として扱う。 (※)不在確認時、住民記録システムを利用して住民登録状況を確認するケースにおける住民記録システムに対する仕様 等

  3. 年金生活者支援給付金の支給に関する法律及び関連法令、通知等に基づく、請求書の受理や審査、所得状況届、所得情報提供に関する業務については、老齢年金・障害年金・遺族年金以外のその他の給付に関する制度として位置付けられ、国民年金担当課における業務であることから、標準化範囲内とする。

  4. 特定障害者に対する特別障害給付金の支給に関する法律及び関連法令、通知等に基づく、請求書の受理や審査、所得状況届、所得情報提供に関する業務については、老齢年金・障害年金・遺族年金以外のその他の給付に関する制度として位置付けられ、国民年金担当課における業務であることから、標準化範囲内とする。

  5. 年金機構における事務に関しては、市区町村における業務の範囲外であることから、標準化範囲外とする。

法定受託事務及び協力連携事務における対象分野のイメージは次の図のとおりである。

図1-2 国民年金システムの機能範囲と標準化範囲のイメージ

  1. 対象項目

本仕様書では、以下の項目について規定する。

・機能・帳票要件(第3章)

・データ要件・連携要件(第4章)(※)

・非機能要件(第5章)

※データ要件及び連携要件については、「地方公共団体情報システムデータ要件・連携要件標準仕様書」に規定されている。以下の項目はカスタマイズの発生源になっている場合等を除き標準化範囲外とする。

・画面要件

・ヘルプやガイドの具体的内容等、業務遂行に必須ではなく専ら操作性に関する機能

以上の項目について、標準対象の区分と位置づけは以下のとおりである。

表1-1 標準対象の区分と位置付け

<凡例> ○:対象、△:参考、×:対象外

項目 標準対象 位置づけ

業務フロー

△

業務の運用イメージを確認でき、地方自治体、ベンダーへ共通理解を促すための標準的な運用モデルとして定義する。

機能要件

機能要件

○

最も効率的な運用を検討し、標準化する機能を定義する。

画面要件(専ら操作性)

×

カスタマイズの発生源になっている場合等を除き、原則標準化範囲外とする。

帳票要件(外部)

○

基本的には住民等の外部に向けた帳票について、最も効率的な運用を検討し、標準化する帳票を定義する。帳票要件として定義している帳票は、統一指針がないものであっても、データ項目を揃える観点から標準を定義する。

出力項目

○

レイアウト

○

データ要件

○

「地方公共団体情報システムデータ要件・連携要件標準仕様書」に規定されているデータ要件・連携要件の標準のとおりとする。

連携要件

○

非機能要件

可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・エコロジー

○

「地方公共団体情報システム非機能要件の標準」に準じる方針とする。国民年金システム独自に定義が必要な非機能要件があれば定義する。

3.本仕様書の内容

  1. 標準準拠の基準

本仕様書の対象は「2(2)対象分野」で示したとおりであり、この対象範囲において定義すべき機能・帳票要件について、【類型1:実装すべき機能(実装必須機能)】【類型2:実装しない機能(実装不可機能)】【類型3:実装してもしなくても良い機能(標準オプション機能)】の3類型に分類した。

主な考え方は以下のとおりである。

  1. 3類型に分類されていない機能(標準仕様書に規定していない機能)は、原則、類型2と同様のものとして位置付ける。

  2. 「2(2)対象分野」で示した標準化範囲外の機能(明示的に標準化の対象外としている施策に係る機能)等を実現するためのシステムは、標準準拠システムとは別のシステムとして疎結合で構築すること等により、原則として標準準拠システムをカスタマイズしないようにする。

  3. 類型1、類型3について、システムへの実装方法は問わない。

例)「関係届書を一括出力できること」の要件について、一覧表示画面で確認後に一括印刷する、あらかじめ指定した条件で自動的に一括印刷する、という実装方法は問わない。

表1-2 標準化範囲内の機能における類型の分類

分類

類型 説明

地方自治体

ベンダー
標準化範囲内

類型1

実装すべき機能

(実装必須機能)

標準仕様として実装が必須となる機能

要求可能

実装必須

類型2

実装しない機能

(実装不可機能)

標準仕様として実装が不可となる機能

(標準仕様書に明示)

要求不可

実装不可

類型3

実装してもしなくても良い機能

(標準オプション機能)

オプションとして実装しても良い機能

要求可能

実装任意

-

上記以外

(仕様書に規定しない)

標準仕様書に掲載はしていないが、実装が不可となる

要求不可

実装不可

表1-3 類型の考え方

実装すべき機能

(実装必須機能)

全ての自治体で、必須機能である/実装が望ましい

・すべての自治体において、法令で定められる業務に必要であると認められる

・すべての自治体において、住民サービスの向上のために必須であると認められる

最適な標準機能として合意できる

・自治体・パッケージシステムによって機能要件に差異があるが、望ましい機能が定義できる

・自治体の業務効率化のため実装しておくべき

・自治体のデジタル化等の将来動向を見据えて実装しておくべきと判断され、厚生労働省として標準化の指針を提示できる

実装してもしなくてもよい機能

(標準オプション機能)

自治体によっては必須機能である/実装が望ましい

・自治体規模・処理件数の多寡や、組織体制(複数拠点、機能集約等)の条件によってすべての自治体で必須ではないが、当該機能がなければ業務運用が困難 / 非効率になると認められる
 ※指定都市向けの機能は本区分に該当

・自治体の住民サービス方針により、一部自治体においては必須と認められる

・厚生労働省・年金機構側の政策や方針によって、一部自治体においては必須であると認められる

実装しない機能

(実装不可機能)

多くの自治体において必要だと認められない

・一部の自治体の業務慣習による機能やシステムの操作性に係る機能で、カスタマイズの温床となると判断される

・厚生労働省・年金機構の政策や方針によって、自治体側で実施不要とする業務に伴う機能である

  1. 想定する利用方法

本仕様書については、各ベンダーが本仕様書に準拠しているシステムを提供し、各地方自治体は、本仕様書に準拠しているパッケージシステムをカスタマイズすることなく利用することが推奨される。

地方自治体においては、システム調達時に改めて本仕様書に示した個別の要件を一々提示してRFI (request for information)やRFP (request for proposal)、更にはFit & Gap分析を行って調達するのでなく、単に本仕様書に準拠しているパッケージシステムであることを要件に付するだけで、カスタマイズをすることなく利用できることを想定している。

「(1)標準準拠の基準」で示した3類型の考え方は次のとおりである。

図1-5 3類型の考え方

  1. 地方自治体の調達仕様書の範囲との関係

本仕様書を用いることにより、国民年金に係る法定受託事務を運用することは可能であり、本仕様書の標準化範囲については本仕様書に記載された内容で調達することを前提としている。

しかしながら、地方自治体においては、本仕様書の標準化範囲外の機能(「2(2)対象分野」の標準化範囲外の機能等)や他の標準準拠システムと併せて調達すること等も想定され、地方自治体の調達仕様書の範囲と標準仕様書の範囲は必ずしも一致しない場合がある。この場合であっても、各地方自治体の情報システムの調達において、本仕様書の標準化範囲内の業務が本仕様書に記載された内容で調達する限りにおいては、このような対応も許容される。

※ 例えば、オールインワンパッケージを採用している団体は、住民記録や税務等の分野も併せて調達することになるが、その場合、調達仕様書の範囲が本仕様書の標準化範囲と異なることは差し支えない。

  1. 本仕様書の改定

本仕様書に対する改定については、制度改正に伴うものや標準仕様書をより効果的な内容とするためのもの等を契機として改定することが想定される。改定に関する方針(時期や内容など)は関係機関と調整の上、今後検討する。