第1章 本仕様書について
1.本仕様書の構成
第1章では、本仕様書の対象及び内容について記載している。
第2章では、第3章で規定する機能要件が業務上どのように位置づけられ、有効に機能するのかについて地方自治体及び事業者の共通理解を促すため、それらに対応したモデル的な業務フローを示している。ここで示した業務フローは、実際の各地方自治体における業務フローを拘束するものではないが、現在の業務フローでは、本仕様書における機能要件どおりの機能で業務を行うことが難しいと考える地方自治体は、現在の業務フローを本仕様書に示す業務フローに寄せることで、本仕様書における機能要件どおりの機能で業務を行うことが期待される。
第3章、第4章及び第5章では、それぞれ、生活保護システムが備えるべき機能・帳票要件、データ要件・連携要件及び非機能要件について記載している。
第6章では、本仕様書において用いている用語について、解釈の紛れがないよう定義している。
2.目的
- 目指す姿
本仕様書により各主体の目指す姿は次のとおりである。
○ 住民等のサービス利用者
地方自治体に対して異なる手続きで実施していた申請等が統一的に実施可能となり、手続きの簡素化や合理化が実現する。
○ 地方自治体
限られた人材の専門的な知識・ノウハウを共有することで、システム調達や制度改正対応等の業務及び調整コストが減少し、住民へのサービスに人材を充当できる。また、財政面では、システム共同化による割り勘効果とカスタマイズ抑制により、導入・維持管理の費用、制度改正時の費用を削減する。
○ ベンダ
カスタマイズの要望が減ることによりその対応に係る負担が減少し、人口減少下で希少化するシステムエンジニア等の人材を他の分野に投入し、創意工夫による競争が可能となる。
- 本仕様書の目的
本仕様書は、地方自治体においては、調達仕様書と要件定義書の一部をなすものであり、ベンダにおいては、標準準拠システムの適合基準となるものである。これにより以下3つの目的を実現する。
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地方自治体は、生活保護システムの調達において、普遍的に有用性が認められる要件が定められた標準仕様を活用することにより、調達プロセス自体を大幅に効率化することができる。
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地方自治体は、ベンダ間共通の標準的に実装すべき機能やデータ項目の標準等が定められた標準仕様を活用した調達によりスイッチングコストを下げ、システム更改時の円滑なベンダ切り替えを可能とすることができる。
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標準仕様に準拠した機能の活用や地方自治体独自のカスタマイズを原則不要とすることにより、システムの統一・標準化を推進する。
3.対象
- 対象自治体
本仕様書の対象自治体は、生活保護業務を行う全ての自治体とする。
- 対象事務
本仕様書が規定する対象事務は、地域情報プラットフォーム標準仕様書における生活保護ユニットを基本とする。生活保護版レセプト管理に係る機能については、地域情報プラットフォーム標準仕様書の範囲に含まれていないが、「情報システムによる処理の内容が各地方団体において共通し、かつ、統一的な基準に適合する情報システムを利用して処理することが住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に寄与する事務」に該当することから対象とする。
対象事務は制度及び主要ベンダのパッケージ標準で定めている事務を踏まえ整理している。生活保護業務及びレセプト管理業務においては、必ずしも地域情報プラットフォームと制度、主要ベンダのシステム実装状況、地方自治体における事務の整理の考え方が一致せず、乖離する部分も大きいため、制度と現場の実装実態を踏まえてサブユニットという形で整理を実施した。
共通機能については事務全般に関わる機能として整理しており、特定の業務に紐付かないことから、業務フローは作成対象外としている。
表1-1 生活保護業務の整理
表1-2 レセプト管理業務の整理
(3)対象要件
本仕様書では、以下の要件について規定する。
・業務フロー(第2章)
・機能・帳票要件(第3章)
・データ要件・連携要件(第4章)(※)
・非機能要件(第5章)
※データ要件及び連携要件については、デジタル庁において策定されており、本仕様書の改版等に伴い適宜修正、整合、同期される。
業務フロー、機能・帳票要件及びデータ要件・連携要件については、便宜上、生活保護業務及びレセプト管理業務の2つの機能群に分けて規定しており、「生活保護業務」と「レセプト管理業務」とを別々のシステムとして調達することも可能である。
なお、本仕様書で示す要件が充足されている限りにおいて、機能構成の違いは問わないものとする。例えば、健康管理支援機能について、機能要件上では「レセプト管理業務」の一機能として定義しているが、「生活保護業務」と「レセプト管理業務」とを別々のシステムとして調達した場合に、「生活保護業務」を搭載したシステムに健康管理支援機能を搭載することも可能とする。
以下の要件についてはカスタマイズの発生源になっている場合等を除き標準化範囲外とする。
・画面要件
・ヘルプやガイドの具体的内容等、業務遂行に必須ではなく専ら操作性に関する機能
以上の要件について、標準対象の区分と位置づけは以下のとおりである。
表1-3 標準対象の区分と位置づけ
<凡例> ○:対象、△:参考、×:対象外
(※)デジタル庁が策定する。
4.本仕様書の内容
(1)標準化範囲内の類型
本仕様書の対象は「3(2)対象事務」で示したとおりであり、この対象範囲において定義すべき機能・帳票要件について、【類型1:実装必須機能・帳票】【類型2:標準オプション機能・帳票】の2類型を① 都道府県② 団体内で複数の福祉事務所を設置(例:政令指定都市、一部の中核市等)、③ 団体内で一つの福祉事務所を設置(例:②以外の市区町村)の3パターンに分類した。自治体においては、自団体に最も適したパッケージを①から③のうちで選択することができ、自治体の選択を拘束するものではない。また、③については、必須機能が最小限に設定されているパッケージ案である。運用と費用のバランスを鑑みて、適切なパッケージ選択を行うよう留意いただきたい。
なお、他業務における標準仕様書では【実装必須機能・帳票】及び【標準オプション機能・帳票】に加えて、【実装しない機能・帳票】の類型があるが、生活保護システムにおいては標準仕様として明示的に【実装しない機能】として定義すべき機能がない(従来では共通的に搭載されているが本仕様書において意図的に実装すべきではないと判断した機能はない)ため類型から除外している。
主な考え方は以下のとおりである。
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2類型に分類されていない機能(標準仕様書に規定していない機能)は、原則、実装しない機能として位置付ける。
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「3(2)対象事務」で示した標準化範囲外の事務の機能は、標準準拠アプリをカスタマイズしないよう、標準準拠アプリとは別に、標準準拠アプリとは疎結合した形で別に構築(アドオン)し、標準準拠アプリとAPI連携等により連携する。
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類型1、類型2について、システムへの実装方法は問わない。
例)「施設払の支給データについて一覧で確認できること。」の要件について、一覧表示画面で確認する、あらかじめ指定した条件で自動的に印刷する、など実装方法は問わない。
表1-4 標準化範囲内の機能・帳票要件における類型の取扱い
表1-5 機能・帳票要件の類型の考え方
(2)調達時の留意点
地方自治体は、契約期間等を設定した上で、調達を行うことになる。調達においては、自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書 【第 4.0 版】を参照のこと。
また、地方自治体は、画面要件や必要な標準オプション機能、標準化対象外システムとの相互運用、ガバメントクラウドへの移行対応等を中心に審査要領を定めて、調達するシステムを選定することが考えられる。
また、地方自治体が標準仕様書1.1版、2.0版および2.1版に対応したシステムを実装していない場合でも、ベンダが2.2版や2.3版に適合したシステムを提供可能な場合は、地方自治体は1.1版、2.0版および2.1版の実装に先行して2.2版や2.3版のシステムを調達し、実装することが可能である。
(3)地方自治体の調達仕様書の範囲との関係
本仕様書を用いることにより、生活保護に係る法定事務を運用することは可能であり、本
仕様書の標準化範囲については本仕様書に記載された内容で調達することを前提としている。
しかしながら、地方自治体においては、本仕様書の標準化範囲外の機能(「3(2)対象事務」の標準化範囲外の機能等)や他の標準準拠システムと併せて調達すること等も想定され、地方自治体の調達仕様書の範囲と標準仕様書の範囲は必ずしも一致しない場合がある。この場合であっても、各地方自治体の情報システムの調達において、本仕様書の標準化範囲内の業務が本仕様書に記載された内容で調達する限りにおいては、このような対応も許容される。
※ 例えば、福祉総合システムを採用している団体は、障害者福祉や児童福祉といった複数の福祉業務システムを併せて調達することになるが、その場合は、調達仕様書の範囲と併せてそれぞれの仕様書を組み合わせて活用することが考えられる。
(4)本仕様書の改定
本仕様書については、制度改正等の政策上必要と判断されるものや標準仕様書をより効果的な内容とするためのもの等を契機として改定することがある。本仕様書を改定する場合は、デジタル庁が示す「標準仕様書の改定・運用に関する基本的な考え方」を踏まえる。