第1章 本仕様書について
1-1 はじめに
本標準仕様書は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(令和3年法律第40号。以下「標準化法」という。)第5条第1項に基づく地方公共団体情報システム標準化基本方針(令和4年10月)を踏まえ、同法第6条第1項に規定する基準に基づき、作成するものである。
1-2 対象
(1)対象自治体
本仕様書の対象は、全ての市区町村とする。なお、本仕様書における「市区町村」の区とは、特別区のことである。
(2)対象事務範囲
子ども・子育て支援システムにおける対象事務範囲は次のとおりである。
<子ども・子育て支援システムの標準化対象事務範囲のイメージ図>
本仕様書の対象事務については、他の標準化対象業務(住民記録、介護保険、地方税等)が対象事務を選定するに当たり基本とする地域情報プラットフォーム標準仕様書が存在しない。そのため、各地方公共団体・ベンダを対象に実施した令和2年度及び令和3年度の調査研究の結果等を踏まえ、子ども・子育て支援システム標準化検討会にて対象事務の選定を行った。
同調査研究において、業務実施率・システム化率に特にばらつきのあった地域子ども・子育て支援事業(以下「13事業」という。)の事務に関しては、期待される標準化の効果や教育・保育給付等との関連性等を勘案し、現時点で優先度の高い事業の事務を第1.0版における対象とする方針のもと、「延長保育事業」と「実費徴収に係る補足給付を行う事業」を標準化対象の事業としている。本事業の標準仕様書第2.1版においてもその方針を踏襲する。
地域子ども・子育て支援事業(13事業)の対象事務範囲選定の基本的な考え方
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13事業は、市区町村が地域の実情に応じて取り組んでいる事業であり、業務内容や対象者が多岐にわたるため、全ての事業を1つのシステムとして実装することが必ずしも合理性を有するわけでない。
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13事業は、事業の実施方法が法令等で定まっている業務と比べて、市区町村間の差異(例:対象者、利用料と所得基準、委託の有無)が大きいことが想定され、標準化を行う上での課題が多く生じる可能性がある。また、標準化対象とする事業については、各市区町村の事業の実施方法に応じた自由なカスタマイズが不可となる点にも留意が必要。
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本標準仕様書(第1.0版)は、令和4年度夏頃までに作成する必要があるため、標準仕様の作成における効率性・実現可能性も考慮に入れて検討を行う必要がある。
標準仕様書(第1.0版)における地域子ども・子育て支援事業(13事業)の選定方針
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本標準仕様書(第1.0版)の作成においては、すべての地方公共団体で事業を実施し、かつ、ほとんどの地方公共団体にてシステム化している「子どものための教育・保育給付及び子育てのための施設等利用給付」を重点的に検討する必要があるため、事業実施率・システム化率が低い13事業は、標準化の効果や教育・保育給付等との関連性等を勘案し、優先度の高い事業を対象とする。
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今回の標準化範囲の決定は、あくまでも標準仕様書(第1.0版)におけるものであり、同仕様書の策定後に、標準化対象事務以外の業務の標準化に関する政府方針等も踏まえつつ、必要に応じて、見直しを行うこととする。
(3)対象事務範囲の考え方
本システムでは、「(2)対象事務範囲」に記載の業務を標準化の対象とする。標準化対象事務範囲のうち、地方公共団体による独自性が高い施策等(①②④⑤)については、パラメータ処理により対応することを基本としているが、これによりがたい場合には、標準準拠システムとは別にシステムを構築して情報連携するアドオンにより実現することを想定している。そのような工夫をしてもなお、必要なサービスを提供できない場合、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律第8条第2項においては、標準化対象事務以外の事務を標準化対象事務と一体的に処理することが効率的であると認められるときであって、標準準拠システムに係る互換性が損なわれない場合に限り、必要最小限の改変や追加を行うことができるとされている。ただし、統一・標準化の趣旨を踏まえ、極力これを避けるべきである。
なお、「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」に示されているとおり、標準準拠システムの導入に際し、各地方公共団体においては、必要に応じて条例や規則等の改正を検討していただくことを想定している。
地方公共団体の独自施策等の扱い
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パラメータ処理で対応可能な場合⇒標準化の対象事務範囲
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パラメータ処理で対応不能な場合⇒標準化の対象事務範囲外
- Bの場合、標準準拠システムとは別の外部システムを構築して情報連携する想定。
<対象事務範囲の考え方イメージ図①>

また、以下に標準化の対象事務範囲に関して補足する。
- 利用調整
利用調整に関しては、各地方公共団体において待機児童の状況等に応じた選考基準が独自設定にされ、また高度なAI選考システムを導入しているケースやシステムを利用せずExcel等で処理しているケースがあるなどばらつきが大きい業務である。標準準拠システムとしては、利用調整について、パラメータとして選考基準項目を任意設定可能(※1)かつ選考条件を複数設定可能(※2)とする仕様とする(AIによる選考を行う場合やパラメータで対応不能な場合は、標準化の対象事務範囲外として取り扱い、 本システム以外のシステムの利用が可能。)。
※1 各地方公共団体の選考基準項目に柔軟に対応いただけるよう自由項目やパラメータ登録の要件を定めている。
選考基準項目(分類/内容/指数)設定の具体例:
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選考基準指数/就労/会社員月XXX時間以上の労働/+XX
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選考基準指数/就労/会社員月XXX時間以上XXX時間未満の労働/+XX点
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選考調整指数/ひとり親/配偶者との離婚又は死別/+XX点
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選考調整指数/祖父母・同居親族/祖父母・同居親族が65歳未満で保育可能な場合/▲XX点 等
※2 選考条件について、各地方公共団体の同点時優先の条件に柔軟に対応いただけるよう条件設定とそれに応じた条件分岐を設定可能とする要件を定めている。
地方公共団体の運用によっては、職員が定性的に判断した結果だけを入力する簡易バージョンで対応可能な場合と、税額を参照して並び替える等の高度で複雑な処理まで必要な場合があり、2パターンの要件を定義する。地方公共団体の運用によって、必要なオプション機能を選択する想定である。なお、ベンダにより、本機能への対応可否が変わることも想定する。
同点時優先の条件設定の具体例:
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条件(世帯ごとの所得割額順、利用開始希望日からの期間が長い順、就労実績の長い順等)を指定して降順に並び替えができること。
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条件(ひとり親、支援措置対象者等)を指定して該当するものを上位に並び替えができること。
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条件(当該施設への希望)を指定して、降順に並び替えができること。
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管理項目の範囲外である父母いずれかの海外赴任等は、予備領域に汎用項目として別途設定した上で、条件(海外赴任等)に該当するものを上位に並び替えができること。 等
- 契約
利用者負担額及び減免に関しては、国の定める利用者負担の上限額(国基準)から独自に軽減を行う地方公共団体が多いことから、標準準拠システムとしては、地方単独事業による独自の階層区分や利用者負担額の設定、多子軽減へのパラメータ対応のほか、収入減少や災害等の個別減免にも対応した仕様とする。
<対象事務範囲の考え方イメージ図②>

- 保育料等納付管理(収滞納)
保育料等納付管理に関しては、本システムにて運用する部分は標準化範囲内として扱うが、統合収滞納管理システム(全庁的に行う収納管理及び滞納管理を行うためのシステムをいう。)と、個別収滞納管理機能(各基幹業務システムの標準仕様書において規定している収納管理及び滞納管理を実現するための機能をいう。)との関係については、デジタル庁が定める「地方公共団体情報システム標準化基本方針」(令和5年9月)に準拠するものとする。
- 事業所請求管理(地方単独事業分)
施設・事業所等への給付(子どものための教育・保育給付)に関しては、地方単独事業として独自の加算・減算を設定しているケースがあることから、独自の加算項目等及びその単価・対象・上限などについてパラメータ設定を可能としている。また、認可外保育施設の利用者等を対象とした独自事業(子育てのための施設等利用給付と同様の個人給付)についても、パラメータ設定による対応を可能としている。
<対象事務範囲の考え方イメージ図③>

- 地域子ども・子育て支援事業(13事業)
<延長保育事業の標準化の対象事務範囲>
延長保育の利用の決定や延長保育料の算定、納付管理に関する事務
※延長保育を行う園への補助事業等は対象事務範囲外。
<実費徴収に係る補足給付を行う事業の標準化の対象事務範囲>
施設型給付を受けない幼稚園における副食費の補足給付に関する事務
上記は、あくまでも標準仕様書(1.1版)における対象事務範囲であり、同仕様書の策定後に、必要に応じて見直しを行うこととする。
(4)対象項目
本仕様書では、以下の項目について規定する。
・ 業務フロー及びツリー図(第2章)
・ 機能要件(第3章)
・ 帳票要件(第4章)
・ その他要件(第5章)※
・ 用語(第6章)
※ その他、データ要件・連携要件及び非機能要件について規定しているが、これらはデジタル庁を中心に検討されるものである。
以下の項目については原則として規定しない。ただし、カスタマイズの発生源になっている場合等についてはこの限りでない。
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画面要件
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ヘルプやガイドの具体的内容等、業務遂行に必須ではなく専ら操作性に関する機能
具体的には、以下のようなものを想定する。
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アプリケーション・画面を同時に複数起動できる、などの操作に係る要件
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対象者特定後、詳細情報表示をワンクリックで確認できる、などの画面表示に係る要件
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処理に注意が必要な対象者を、色やポップアップで注意喚起する、などのユーザーインターフェースに係る要件
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マウス操作だけでなく、ファンクションキーなどによって入力できる、などの操作性に係る要件
(5)デジタル社会を見据えた対応
本仕様書は、これからのデジタル社会においてあるべき姿(電子化・ペーパーレス化)を視野に標準を設定するとしつつも、これからのデジタル社会においてあるべき姿にそのまま即したものには必ずしもなっていない。例えば、本仕様書において、認定申請にかかる申請情報の登録機能について規定しているが、「ぴったりサービス」を活用した電子申請及び申請データの取り込みが今よりも進めば、今後、オンライン画面による申請情報の登録の頻度は低下していくものと考えられる。
また、これからのデジタル社会を見据えれば、実務やシステムの前提となる制度自体を見直すべきという考え方もあり得る。しかし、そうした制度自体の検討については、一朝一夕にできるものではない。そこで、本仕様書としては、電子化・ペーパーレス化も含め、これからのデジタル社会においてあるべき姿を視野に入れつつ、現行制度の下で、多くの自治体が支障なく対応できるものについて、できる限り盛り込むこととした。
他方、デジタル社会を見据え、様々な社会環境の変化に対応するためには、本仕様書の作成後、実務やシステムの前提となる制度を随時見直していくことが重要であり、制度の見直しとともに本仕様書を改定していくことが求められる。
1-3 本仕様書の内容
(1)本仕様書の構成
第1章では、本仕様書の背景、目的、対象及び内容について記載している。
第2章では、業務フロー及びツリー図を記載している。
第3章、第4章及び第5章では、それぞれ、子ども・子育て支援システムが備えるべき機能要件、帳票要件、データ要件・連携要件及び非機能要件について記載している。「(2)標準準拠の基準」にあるように、これらの章が、パッケージステムが本仕様書に準拠するための判断基準となるものであり、言わば本仕様書の本体部分である。
第6章では、本仕様書において用いている用語について、解釈の紛れがないよう、定義している。
(2)標準準拠の基準
本仕様書の対象は「1-2(2)対象事務範囲」で示したとおりで、この対象事務範囲において定義すべき要件について、【実装必須機能】【標準オプション機能】【実装不可機能】の3類型に分類を行った。3分類のいずれにも分類されていない機能(標準仕様書に明記していない機能)は、カスタマイズ抑制、ベンダ移行の円滑化の観点から、【実装不可機能】と同様のものとして位置付ける。
パッケージシステムが本仕様書に準拠するためには、第3章及び第4章に規定する【実装必須機能】をいずれも実装し、【標準オプション機能】は実装してもしなくても良いものとするが、【実装不可機能】及び分類されていない機能をいずれも実装しないことが必要である。ただし、分類されていない機能のうち、地方公共団体やベンダの創意工夫により新たな機能を標準準拠システムに試行的に実装させて機能改善の提案を行う場合は、当該試行についてあらかじめ公表し、当該試行を本仕様書に盛り込む提案となることを条件にして実装することを可能とする。【標準オプション機能】は、実装しても、実装しなくても、実装した上で地方公共団体が利用を選択できることとしても、いずれも差し支えない。
(3)想定する利用方法
標準化法第8条第1項では、「地方公共団体情報システムは、標準化基準に適合するものでなければならない。」とされており、本仕様書は、標準化基準として位置づけられる予定のものである。
したがって、本仕様書は、
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今後、整備予定の「ガバメントクラウド(Gov-Cloud)」上で、各ベンダが、本仕様書に準拠したシステムを提供する。
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各地方公共団体は、標準準拠システムをカスタマイズすることなく利用する。
という前提で作成している。
地方公共団体としては、標準化後にシステム更改を行う際には、改めて標準仕様書に示した個別の要件を一々提示してRFI(request for information)を実施したり、更にはFit & Gap分析を行って調達したりするのではなく、単に、標準準拠システムであることを要件に付するだけで利用できることを想定している。
本仕様書は、人口規模に応じて、本仕様書における機能さえあればカスタマイズなしで支障なく業務が行えるようになるよう、実装すべき機能と実装しない機能をその理由とともに整理したものである。このため、地方公共団体内での検討や地方公共団体・ベンダ間の協議の際に、仮に本仕様書における機能と異なる機能が必要ではないかという議論があった場合、限られた人員、財源の中で、果たして当該地方公共団体だけ特別に必要な機能なのか、本仕様書が想定する業務フローを参照することで効率的な運用となるよう見直しが必要ではないか、という観点から、本仕様書における必要又は不要の整理を知るための資料として参照することも想定している。
(4)本仕様書の改定
本仕様書については、①制度改正時のほか、②地方公共団体やベンダからの創意工夫によるシステムの機能改善等の提案がある場合や、③新たな技術が開発されるなどデジタル化の進展等がみられる場合にも、関係者の関与の下で改定することを想定している。とりわけ、制度改正により本仕様書を改定する必要がある場合は、制度の施行時期を勘案して改定する。改定後の本仕様書に基づいて、ベンダがクラウド上で一括してシステムを改修することにより、制度改正等の都度、各地方公共団体が個別にベンダと協議して改修を行う必要がなくなると想定される。
(5)各地方公共団体の調達仕様書の範囲との関係
本仕様書に規定した機能によって子ども・子育て支援業務を行うことは可能であり、また、本仕様書の対象範囲の事務については本仕様書に記載された内容で調達する必要がある。
しかしながら、各地方公共団体においては、例えば、本仕様書の標準化範囲外の機能や地域情報プラットフォームの別ユニットと併せて調達することや、本仕様書に記載された範囲の機能の一部(例:未実施の施策、本仕様書で設定したパラメータで対応できない施策)を除いて調達すること等も想定され、各地方公共団体の調達仕様書の範囲と標準仕様書の範囲は必ずしも一致しないと考えられる。この場合であっても、各地方公共団体の情報システムの調達において、本仕様書の範囲の業務について本仕様書に記載された内容で調達する限りにおいては、このような対応も許容される。
例えば、オールインワンパッケージシステムを採用している団体は、住民記録や選挙人名簿、国民健康保険等の分野も併せて調達することになるが、その場合、調達仕様書の範囲が本仕様書の範囲と異なることは差し支えない。また、「1-2(3)対象事務範囲の考え方」に記載がある各地方公共団体の独自施策等については、当該施策が本システムのパラメータ処理によっては対応できない場合には、標準準拠システムとは異なるシステムを併せて調達することも可能である。