第6 その他地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の推進に関し必要な事項(標準化法第5条第2項第5号)
6.1 ガバメントクラウドの利用(標準化法第10条)
6.1.1 ガバメントクラウドの位置付け
○ ガバメントクラウドは、デジタル庁が調達し、整備するものであって、地方公共団体が標準準拠システム等を利用できるよう、地方公共団体に対し提供するクラウドサービス及びこれに関連するサービス(以下「クラウドサービス等」という。)である。地方公共団体は、クラウドサービス等の利用に当たっては、デジタル庁とガバメントクラウドの利用に係る契約を締結することとする。
○ 地方公共団体が標準準拠システムにおいてガバメントクラウドを利用することは、標準化法第10条により、努力義務とされている。地方公共団体は、標準準拠システムの利用において、ガバメントクラウドの利用を第一に検討すべきであるが、ガバメントクラウドと比較して、ガバメントクラウド以外のクラウド環境その他の環境の方が、性能面や経済合理性等を比較衡量して総合的に優れていると判断する場合には、当該ガバメントクラウド以外のクラウド環境その他の環境を利用することを妨げない。
○ 本章におけるガバメントクラウドに係る記述は、地方公共団体がガバメントクラウドを利用する場合における基本的事項であり、詳細については、デジタル庁が別途定める。ただし、地方公共団体の利用に当たって影響を及ぼす事項については、総務省と協議するものとする。また、個人情報の取扱いに影響を及ぼす事項については、個人情報保護委員会と協議するものとする。
6.1.2 ガバメントクラウド上に構築することができるシステム
○ 次に掲げる標準準拠システム等については、ガバメントクラウド上に構築することができる。
(1) 標準準拠システム
(2) 関連システム(標準準拠システムと業務データの連携等を行うシステムのほか、標準準拠システムと同じくガバメントクラウドに構築することが効率的であると地方公共団体が判断するシステムをいう。)
6.1.3 ガバメントクラウドの調達及び提供方式
○ デジタル庁は、政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストに登録されたクラウドサービスからデジタル庁が別途定める要件を満たすクラウドサービス等を提供するクラウドサービス事業者(以下「CSP」という。)と契約を締結する。
○ デジタル庁は、CSPからクラウドサービス等の提供を受け、別途定める方式により、当該クラウドサービス等を利用する環境を、地方公共団体に対し提供する。
6.1.4 ガバメントクラウドの利用
○ 地方公共団体又は地方公共団体との運用管理補助委託契約に基づき、ガバメントクラウドの運用管理を行う事業者(以下「ガバメントクラウド運用管理補助者」という。)は、割り当てられたクラウドサービス等を別途定める範囲内で自由に構成することができる。ただし、当該クラウドサービス等は、地方公共団体がガバメントクラウド上で業務を行うための利用に限って必要な環境をデジタル庁が提供するものであり、標準準拠システム等の開発行為等専ら標準準拠システム等を提供する事業者又はガバメントクラウド運用管理補助者の利益になる行為に利用してはならない。
6.1.5 責任分界の考え方
6.1.5.1 システム管理上の責任分界
** (1) クラウドサービス等の提供、保守及び運用**
** **○ 地方公共団体又はガバメントクラウド運用管理補助者は、提供されたクラウドサービス等の運用管理義務を負う。
○ ただし、CSPが管理するプラットフォームや物理的設備等についてはCSPの責任範囲となり、地方公共団体との関係においては、デジタル庁の責任範囲となる。
** (2) 電気通信回線の確保及び維持**
○ ガバメントクラウドの利用に係る電気通信回線のうち、デジタル庁が提供するクラウドサービス等と地方公共団体との間の電気通信回線については、地方公共団体が確保及び維持する責任を負う。
6.1.5.2 サービス品質保証(SLA)
○ デジタル庁は、CSPが定めるクラウドサービス等におけるSLAに基づき、地方公共団体等が利用するガバメントクラウドの各クラウドサービス等に関するサービスレベルを地方公共団体に提示することとする。
○ その上で、デジタル庁は、ガバメントクラウドを利用しようとする地方公共団体とSLAを締結する。
6.1.5.3 ガバメントクラウドに起因して発生した損害の賠償責任
○ ガバメントクラウドに関しCSPの責めに帰すべき事由に起因して地方公共団体が損害(SLAが満たされないことに起因して発生する損害を含む。)を受け、デジタル庁に対して損害賠償請求をした場合、デジタル庁は、当該損害についてCSPに対して損害賠償請求を行い、CSPから賠償金の弁済を受領できた金額を上限として、地方公共団体に対して損害賠償責任を負う。
○ CSPに帰責性がなく、デジタル庁の責めに帰すべき事由に起因して地方公共団体が損害を受けた場合、デジタル庁は、地方公共団体に対して損害賠償責任を負う。
6.1.5.4 個人情報の取扱い
○ デジタル庁は、ガバメントクラウドの提供に当たり、個人の権利利益を保護しつつ、地方公共団体の保有する個人番号をその内容に含む電子データを自ら取り扱わない旨を地方公共団体との契約において定めるとともに、デジタル庁自身が、デジタル庁が提供するガバメントクラウド利用システム個別領域(ガバメントクラウドにおいて利用者がクラウドサービス等を利用することができる範囲をいう。)にアクセスして個人番号をその内容に含む電子データを参照又は取得することができないよう、アクセス制御を行う。その結果、デジタル庁が行うガバメントクラウドを利用する環境を提供することは、番号法に規定する個人番号利用事務等の委託に該当しないこととなる。
○ 地方公共団体は、ガバメントクラウド上の自ら管理するデータについて、番号法に基づき、自ら適切な安全管理措置を講ずる必要がある。また、当該データのうち個人情報については、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(行政機関等編)及び個人情報の保護に関する法律についての事務対応ガイド(行政機関等向け)等を踏まえつつ、外的環境の把握を含む必要かつ適切な安全管理措置を講ずる必要がある。
○ デジタル庁は、当該安全管理措置に関連し、個人情報保護委員会の協力を得て、地方公共団体に対し、技術的な助言等を行うとともに、地方公共団体は、自ら実施する安全管理措置の実施に必要な範囲において、デジタル庁に対して、追加的な情報提供や必要なセキュリティ対策等の措置を求めることができる。デジタル庁は、当該求めの内容がCSPの管理責任の範囲にある場合は、CSPに追加的な情報提供や必要なセキュリティ対策等の措置を求めることとする。
6.1.5.5 ガバメントクラウドの利用料
○ 地方公共団体の基幹業務システム等が活用するガバメントクラウドの利用料については、クラウド利用料は地方公共団体が現行システムで負担する運用経費に相当するものであること、標準準拠システムを効率的に構築・運用していくための競争環境を適切に確保していく必要があること、ガバメントクラウド上の各種サービスへの円滑な接続など他の環境にはない利点があることを踏まえ、ガバメントクラウドの利用に応じて地方公共団体が負担する。利用料の負担方法については、地方公共団体が利用に応じて国に支払い、国は、国及び地方公共団体等の利用料を一括してCSPに支払うこととする。そのため、デジタル庁は、地方公共団体等のガバメントクラウド利用料を保管する仕組みを令和6年度(2024年度)中に整備することとし、令和7年度(2025年度)から、地方公共団体は国を通じて利用料を支払うこととする。
○ 国は、ガバメントクラウドの利用料について、大口割引や長期継続割引の適用などを通じた低廉化に取り組むとともに、ガバメントクラウド上での構築・運用を前提としたアプリケーションの開発や運用の最適化に挑戦する事業者のスキル・ノウハウを底上げするための支援を強力に行う。
6.2 地方公共団体への財政支援(標準化法第11条)
6.2.1 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化に係る財政支援に関する基本的な考え方
○ 標準準拠システムへの移行に要する経費に対しては、国が必要な財政支援を行うこととする。この財政支援に当たっては、デジタル基盤改革支援補助金(6.2.2)を活用する。
○ 各地方公共団体における標準準拠システムへの移行の進捗状況を踏まえ、総務省は、令和7年度(2025年度)末までとされているデジタル基盤改革支援基金の設置年限について、5年延長を目途に検討する。
6.2.2 デジタル基盤改革支援補助金
6.2.2.1 デジタル基盤改革支援基金の造成・執行
○ 6.2.1の財政支援等を行うため、令和2年度第3次補正予算により地方公共団体情報システム機構(J-LIS)にデジタル基盤改革支援基金を造成した。デジタル庁は、当該基金の執行について、情報システム整備方針に基づき、総務省を通じて適切に統括・監理を行う。
○ 対象経費の詳細や補助金の申請等に係る手続の詳細は、別途J-LISにおいて規定する。
6.2.2.2 デジタル基盤改革支援補助金の事業実施方法等
○ デジタル基盤改革支援補助金は、各地方公共団体の標準準拠システムへの計画的かつ円滑な移行を図るため、標準化対象事務の処理に係る情報システムに関して地方公共団体が行う、ガバメントクラウド上で構築された標準準拠システムへの移行に係る事業を対象とし、当該事業に必要な一時経費(導入経費)に係る財政支援を行う。
○ また、ガバメントクラウドを活用した環境で構築された標準準拠システムへの移行に対して補助することが原則であるが、ガバメントクラウド以外の環境で構築された標準準拠システムへの移行に係る事業については、次の条件をいずれも満たすものを例外的に対象に含める。
(1) ガバメントクラウドと性能面・経済合理性等を定量的に比較した結果を公表するとともに、継続的にモニタリングを行うこと
(2) 当該環境とガバメントクラウドを必要に応じて接続し、ガバメントクラウド上の標準準拠システム等と、必要なデータを連携させることを可能とすること
○ 上記の経費については、各地方公共団体に示した上限額の範囲で、補助率を10/10で措置することとする。その際、総務省は、各地方公共団体に必要な情報提供等を行い、当該基金の効率的かつ効果的な使用に努めることとする。
6.3 地方公共団体へのその他の支援(標準化法第9条第2項)
○ 国は、地方公共団体が計画的に、地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の取組を進められるよう、財政支援(6.2)のほか、以下の支援を行う。
6.3.1 地方公共団体への意見聴取・情報提供等
○ 地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化の推進に当たり、デジタル庁は、デジタル改革共創プラットフォームを活用し地方公共団体と対話を行う。
○ 制度所管省庁は、各制度所管省庁で策定した機能標準化基準の策定、変更及び解釈に関する問合せ窓口を、デジタル庁は、共通標準化基準の策定、変更及び解釈に関する問合せ窓口を、それぞれ設けることにより、地方公共団体及び地方公共団体の基幹業務システムの統一・標準化に取り組む事業者に対し、標準化基準の策定、変更及び解釈に関する情報提供を行う。
○ 3.4.1及び3.4.2による意見聴取等並びに上記の取組のほか、デジタル庁及び制度所管省庁は、議論の過程の透明化やウェブサイト等への公表、目標・取組・スケジュール等の段取りに係る地方公共団体への情報提供、地方公共団体への丁寧な意見聴取、地方3団体等と連携した計画的な移行推進等を行う。
6.3.2 地方公共団体の進捗管理等
○ 総務省は、「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」(以下「手順書」という。)について、ガバメントクラウドへの移行に係る課題の検証を行う先行事業の結果なども踏まえながら、必要な見直しを行い、改定する。
○ 総務省は、各地方公共団体が手順書を踏まえて各地方公共団体において標準準拠システムへの円滑かつ安全な移行を行えるよう、デジタル庁及び制度所管省庁並びに都道府県とも連携して地方公共団体の進捗管理等の支援を行う。
○ 具体的には、総務省は、地方公共団体からの進捗状況等の報告、標準準拠システムヘの移行に向けた課題や質問の問合せ機能等を有する地方公共団体の進捗管理等支援ツールを構築し、デジタル庁及び制度所管省庁並びに都道府県と連携して運用する。
○ 特に、当該ツールに寄せられた課題、質問等のうち、各制度所管省庁に共通するものについては、総務省がデジタル庁とともに、制度所管省庁の所管業務に関するものについては、各制度所管省庁において、それぞれ迅速に対応する。
○ また、デジタル庁においては、地方公共団体の進捗確認や課題把握のため、各都道府県からの派遣職員等による支援体制として「標準化リエゾン」を設置し、総務省及び都道府県と連携して地方公共団体の支援を行う。
○ 上記に定めるもののほか、地方公共団体の進捗管理等支援ツールの運用については、総務省が、デジタル庁及び制度所管省庁と協議して別途定める。
6.3.3 デジタル人材に関する支援
○ デジタル庁及び総務省は、都道府県と連携して、複数市区町村での兼務を含め、デジタル人材のCIO補佐官等としての任用等が推進されるように支援する。また、地方公共団体職員との対話や研修、人事交流等を通じて地方公共団体のデジタル人材育成に寄与する。
○ また、総務省は、標準準拠システムへの移行に課題を抱える地方公共団体において、外部専門家による技術的・専門的な助言を受けることが可能となるよう支援する。
6.3.4 都道府県の役割等(標準化法第9条第3項)
○ 標準化対象事務の多くは、主として市区町村が処理するものであるが、都道府県において標準化対象事務を処理するシステムを利用している場合は、都道府県においても標準準拠システムの利用が義務付けられることから、市区町村と同様に、標準準拠システムへの移行が必要となる。
○ また、標準化法においては、都道府県が市区町村への必要な助言、情報提供等を実施することに係る努力義務が規定されている。このため、都道府県は、広域自治体としての主導的役割として、管内市区町村の基幹業務システムの統一・標準化の進捗管理等を行う立場にある。具体的には、6.3.2に規定する進捗管理等支援ツールを用いて、国や管内市区町村との連絡調整や、助言、情報提供について、主体的かつ主導的な役割を果たすこととする。