ガバメントクラウド利用開始

本節では、ガバメントクラウドの利用が決まったシステムの開発や移行を進める上で、利用開始に向けたガバメントクラウド環境の払出しや移行作業時の留意点を説明する。本項の作業の全体像を図 6-1に示す。また、図6-2に示す作業全体の流れにより、並行して実施可能である作業を確認すること。

6.1. GCASアカウント利用手続き・環境払い出し

ガバメントクラウドの利用を検討している地方公共団体のシステムの管理者及びその委託を受けている事業者は、GCASガイドユーザ専用ページ((非公開)GCASシステム情報登録)『GCASシステム情報登録操作説明(地方公共団体向け)』「Web-Formを用いたGCASアカウントの申請について」を参照し、GCASアカウント登録等を行う必要がある。

GCASアカウントの取得後は、GCASガイドユーザ専用ページ((非公開)GCASシステム情報登録)『GCASシステム情報登録操作説明(地方公共団体向け)』「GCASアカウント取得後の諸手続きについて」を参照のうえ、プロジェクト情報登録やCSP環境利用申請等必要な手続きを実施する。

また、本番相当環境における管理インターフェースにアクセスする場合、職員・事業者を問わずGoogle社が提供するChrome Enterprise Premium(CEP)を利用し、アクセス元制御を行うことが必須である。 CEPの取得手続きの詳細、取得後のユーザーへの付与手続き及び異動時の対応等については、ガバメントクラウド手続き概要「5.2.4 接続元制限設定手続き(地方公共団体)」を参照すること。なお、本項の内容の実施には全てGCASにおける管理者権限が必要となる。

6.2. 回線の手配及び開通後の確認

本項では、「4.2. システム移行計画」で検討した地方公共団体の拠点からガバメントクラウドへ接続する方式に基づき回線を手配する。「5.5. ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約の締結」を完了させておくこと。

また、ネットワーク回線開通作業後に、地方公共団体の拠点からガバメントクラウドへのアクセスが可能か、契約したネットワークの回線速度や帯域に関して問題がないか等の確認を実施する。確認の観点を表6-1に示す。

 なお、表6-1に示すとおり、本作業は環境払い出し手続きが完了してから着手をする必要はない一方で、回線引き込み時には払い出しを受けたクラウド環境が利用可能な状態となっている必要がある。

表 6‑1 回線開通後の確認観点例

確認観点 説明
接続確認 ガバメントクラウド移行計画時に計画した、システム構成のとおりに各拠点間でネットワーク接続が確立され、データの送受信が問題なく行われることを確認する。
回線パフォーマンスの
確認
ネットワーク回線が、ガバメントクラウド移行計画時の想定のとおりの応答時間、データ転送を処理することが出来るかを確認する。

6.3. テンプレート適用

本項では、各地方公共団体に払い出されたクラウド環境に対して、地方公共団体の担当者又はガバメントクラウド運用管理補助者がテンプレート適用を行う。

ガバメントクラウドでは、安全なクラウド利用を目的として、CSPごとにベースラインのセキュリティ設定等を適用するテンプレートを用意している。

テンプレートの適用は必須適用テンプレートのみを適用する場合、数営業日程度の作業となると想定されるが、サンプルテンプレートのカスタマイズも実施する場合、カスタマイズ内容に応じて検討及びカスタマイズの実施に時間が必要となることが想定されるため、「4.2 システム移行計画」の段階でシステム監視の設定等サンプルテンプレートのカスタム範囲についても計画しておくこと。

また、テンプレートの種類や役割、設定についてはガバメントクラウド手続き概要「5.1.4 テンプレート」を、テンプレートの適用手順については、ガバメントクラウド手続き概要「5.2.7 テンプレート入手手続き」を参照すること。テンプレートを適用する際の技術的内容については、GCASポータルに公開されている技術情報を参照すること。

6.4. 移行作業実施

本項では、ガバメントクラウドに各地方公共団体のシステム移行を行う。

移行に際しては、移行計画に従い入念に移行作業の準備をすること。また、ガバメントクラウド移行時にデータの移行も行う場合、現行システムの事業者と協議の上、可能な限り前倒しでデータ移行計画や準備等の作業を進めることを推奨する。

なお、マルチベンダー体制でガバメントクラウドへの移行を想定している場合、契約事業者間の作業スケジュール等の調整を各地方公共団体で行う必要がある点に留意されたい。その際、各地方公共団体が当該調整を担う事業者を別途調達することを妨げるものではない。

システム移行の注意点

運用のシミュレーションを行い、移行後の新システムの運用方法を検討・確定すること。

ASPから提供を受ける移行後の新システムの機能を確認し、現行システムとの最終的な差異の確認を行い、調達仕様に対する提案内容と同一であるかを確認する。

また、以下にシステム移行の注意点を示す。

システム移行時には、現行システムと操作方法や画面等の変更があり得るため、確認が必要となる。他にも、システムやネットワークとの接続に関して、現行システムと移行後の新システムとの切り替えを行うタイミング・方法をあらかじめ検討しておく必要があるため、留意すること。

なお、個人情報等の機微情報を扱う際には閉域網での作業が求められる点にも注意すること。

また、標準化手順書「第2章3.(3)⑮運用テスト・研修」を参照し、ガバメントクラウドリフト・シフト時にシステムの操作方法や画面が変更になる場合は、職員による運用テストや研修の実施も計画すること。

加えて、以下にも注意すること。

ガバメントクラウドの移行後の新システムをマルチベンダー体制で導入した場合、連携状況を確認するために、相互接続性試験等の連携テストを実施することとなり、マルチベンダー間の調整を各地方公共団体で行う必要がある点に留意されたい。

データ移行の注意点

ガバメントクラウド移行時にデータ移行を実施する場合、既存データの整理(データクレンジング)を実施の上、データ移行方針について地方公共団体と移行元のASP、移行先のASPで調整を行う。この場合において移行元と移行先のASPが同一事業者であることを妨げるものではない。データクレンジング作業については以下のような検討事項が想定される。これらについては、移行元・移行先のASP間において役割分担の調整が必要となるが、移行元ASP (その他のASPに外注することも考えられる。)の協力の下、進められるものも存在する。移行について、移行元ASPの協力の下、地方公共団体において作業着手し、可能な限り作業を進めておくことが望ましい。

最終のデータ移行に当たっては、移行に備えたバックアップを取り、行政サービスに支障が生じないように留意する必要がある。最終データ移行は、それまでに複数回同じ手順でリハーサルを実施している前提であるが、ネットワークの帯域影響等、リハーサル時と異なる要因が原因で作業スケジュールが遅延するリスクがないか、あらかじめ地方公共団体とASP間で十分にリスク確認と対策の検討を行うこと。なお、特定個人情報の副本データの移行の前に総務省「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」及び「ガバメントクラウドにおける特定個人情報保護評価について」を参考のうえ、PIA(個人情報保護評価)を実施すること。

6.5. 移行作業完了後確認

各地方公共団体は、移行作業完了後、ASPが移行作業を正しく完了したことを確認すること。確認をする際は、表 6‑2に示す観点を参考に確認すること。

確認観点説明
機能の確認移行したシステムが調達仕様書のとおりに機能しているかを確認する。
データの整合性確認データ移行を行った場合、移行前後でのデータの整合性が保たれていることを確認する。
パフォーマンスの確認移行後システムの処理速度、レスポンス時間を確認し、運用に支障がないことを確認する。
バックアップの確認移行計画時に策定したバックアップ計画のとおりに移行後システムがバックアップ出来ることを確認する。

表 6‑2 移行作業完了後確認観点例

移行後のシステムが他業務連携している場合は、他業務とのデータ連携項目、ファイル形式、処理タイミング等も確認すること。また、ガバメントクラウド間、ガバメントクラウドとオンプレミス環境の間でのシステム連携がある場合は、この観点でのシステム連携も確認すること。

また、計画した移行後の運用要件を満たしているか検証すること。