予算要求・調達

 本節では、ガバメントクラウドの利用に当たり、予算要求・調達の流れを示し、その際に必要となる手続きについて記載する。予算要求・調達の作業の全体像を図 5-1に示す。

(複数年度移行パターン)

(単年度移行パターン)

図 5-2及び図 5-3は移行モデルスケジュールにおける予算要求・調達フェーズの該当箇所である。ガバメントクラウドへの移行が完了し、運用を開始する年度を「n年度」として記載しているため、各地方公共団体の移行方法に応じて適宜読み替えていただきたい。

予算要求・調達フェーズにおける全体の流れを図5-4に示す。主な作業項目は以下の①~⑤のとおりであり、それぞれの作業項目に係る詳細な手続きについては、次項以降で説明する。

調達作業について「3.2. ガバメントクラウド利用にあたり必要な契約」を参照し、契約パターンに応じて必要なガバメントクラウド運用管理補助者、ASPの調達を実施すること。また、採用するネットワーク接続方式に応じて、要件の定義や通信回線事業者の調達を並行して実施すること。

  1. 移行計画に関わるイニシャルコストとランニングコストの算出

  2. 予算要求

  3. ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者の調達手続き

  4. ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者の事業者選定及び契約手続き

  5. ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約の締結

5.1. 移行計画に関わるイニシャルコストとランニングコストの算出

移行計画に関わるイニシャルコストとランニングコストの算出では、表 5-1に示した見積り項目について、予算化に向けて費用を算出する。

本項では、特に「クラウドサービス利用料」及び「回線利用料」についてコストの予算化に向けた作業を説明する。「移行作業に係る経費」、「ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者との運用管理補助委託料」及び「アプリケーション等利用料・保守料」については、各事業者に相談の上、見積りを行うこと。

クラウドサービス利用料の算出(利用開始年度)

クラウドサービス利用料の予算化に向けては、「4.2. システム移行計画」によって得られたコスト見積りに対し、システム構成の見直し等を経て、コストの精緻化を行う必要がある。料金見積りツールを用いて「クラウドサービス利用料」を算出する上では、「8.(5) CSP料金見積りツールによる試算」に記載の考え方を基に見積りを行うこと。また、予算要求に係る見積りの計算においては積算漏れ項目がないか、不要な項目が含まれていないか等、十分に点検すること。なお、必要に応じ、各CSP別のクラウド利用経費の算出に係る手順書(令和6年2月発出)も活用すること。

クラウドサービス利用料の算出(利用継続年度)

クラウドサービス利用料の見積りは年度ごとに見直しが必要である。n+1年度のクラウド利用料は、n年度(ガバメントクラウド運用開始年度)と同様に利用するサービスの利用料の積算により見積りを行う。n+2年度以降は、ガバメントクラウド上での運用実績を基に見積りを行うことでより精緻な見積りを算出すること。各年度の利用料算出の考え方を図 5-5に示す。

回線利用料の算出

ガバメントクラウドへの接続に関する回線利用料等は、接続方法に関わらず地方公共団体負担となる。各地方公共団体は表8-4に記載の各接続方法を検討し、それぞれの接続方式に応じた調達先から見積りを取得し、回線利用料を算出すること。

5.2. 予算要求

「5.1. 移行計画に関わるイニシャルコストとランニングコストの算出」での作業結果を基に予算要求を実施する。特にイニシャルコストに係る予算要求に当たっては、イニシャルコストに記載されている項目がデジタル基盤改革支援補助金の補助対象経費と一致するものではない点に留意し、必要事項や留意点等が記載されている事務処理要領やQ&A等を必ず確認すること。

5.3. ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者等の 調達手続き

本項では、「4. ガバメントクラウド移行計画」で実施した結果を基にガバメントクラウド移行の仕様を詳細化し、ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者、通信回線事業者の選定に向けた手続き(RFP)を行う。

本項では、RFPを実施することを前提とした流れを記述している。

調達仕様書作成

地方公共団体はガバメントクラウド移行計画で作成した移行計画書を基に調達仕様書を作成する。

調達仕様書については、ガバメントクラウドにおいて利用を想定しているクラウドサービスや通信回線を念頭に置いた記載とし、クラウド利用料等の試算前提と整合性の取れた記載とする。

その他、特にガバメントクラウド移行において検討しておくべき項目については「8.(7) 調達仕様書への記載を検討する必要がある事項」にて記載しているため参考とすること。

入札・契約方式の確認

地方公共団体はガバメントクラウド移行計画に従い、入札・契約方式の最終確認を行う。各入札・契約方式により調達期間が異なるため、移行スケジュールに鑑みて、RFP等の実施準備をすること。

RFPの実施(Aパターンのみ)

標準準拠システムへの移行と併せて実施する場合は、標準化手順書「第2章 3.(2)⑨ベンダーへ提案依頼(RFP)」に記載のあるRFP全般にわたる留意事項を参照し、事業者への提案依頼を行うこと。

5.4. 事業者選定及び契約手続き

RFPの評価と事業者の選定(Aパターンのみ)

地方公共団体はRFPで得た提案書、デモンストレーション、プレゼンテーション等に対して評価を行い、ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者を決定する。

事業者との契約の締結

ガバメントクラウド運用管理補助者及び回線運用管理補助者、通信回線事業者を選定した後、それぞれの運用管理補助者や事業者と必要な契約手続きを結ぶ。ガバメントクラウド利用に当たっては、ガバメントクラウドの運用管理を委託するための「ガバメントクラウド運用管理補助委託契約[^1]」をガバメントクラウド運用管理補助者と契約する手続きを行うこと。また通信回線をガバメントクラウドに接続する際には、事前にクラウドサービスのアカウントが利用可能な状態であることに留意すること。

なお、ガバメントクラウド運用管理補助者とASPが同一の事業者となるケースもあると思われる。この場合、アプリケーションの提供契約とガバメントクラウド運用管理補助契約を一体化[^2]するかは各地方公共団体の判断に委ねる。また、契約締結に当たっては必ずしもデジタル庁が提供する「ガバメントクラウド運用管理補助委託契約書」を使用する必要はなく、各地方公共団体とガバメントクラウド運用管理補助者との間で検討の上、契約すること。

地方公共団体とガバメントクラウド運用管理補助者、回線運用管理補助者、通信回線事業者の契約内容については「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウドの利用について 3.1.4 ガバメントクラウド提供に関する契約関係」を参照すること。

5.5. ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約3の締結

地方公共団体は、ガバメントクラウドを利用可能な状態とするために、ガバメントクラウド利用開始前までに「ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約」の契約手続を行うこと。

契約手続に当たっては、デジタル庁から別途通知するスケジュールを確認すること。なお、本契約は単年度契約となるため、次年度も継続してガバメントクラウドを利用する場合であっても、契約の自動更新は行われない点注意すること。