はじめに

ガバメントクラウド移行の背景・経緯

政府は、令和2年12月25日、IT基本法の見直しの考え方やデジタル庁設置の考え方について政府の基本的な方針を盛り込んだ「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」を閣議決定した。この方針等を踏まえ、デジタル改革関連法案が令和3年2月9日に閣議決定され、国会審議を経て成立した。

令和3年9月に発足したデジタル庁では、政府情報システム等について、共通的な基盤・機能を提供するクラウドサービス(ガバメントクラウド)を提供し、令和3年度から運用を開始している。

地方公共団体の情報システムについては、情報通信技術を活用し、住民の利便性の向上及び地方公共団体の行政運営の効率化に資することを目的とした、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」(令和3年法律第40号。以下「標準化法」という。)が成立し、地方公共団体に対して、標準化基準に適合したシステム(以下「標準準拠システム」という。)の利用を義務付けるとともに(標準化法第8条第1項関係)、地方公共団体は、国による全国的なクラウド環境の整備の状況を踏まえつつ、標準準拠システムの利用に当たっては、ガバメントクラウドを活用することが努力義務とされた(標準化法第10条)。

ガバメントクラウドの特徴

ガバメントクラウドとは、国や地方公共団体等の情報システムを運用するためのクラウド環境である。ガバメントクラウドでは、CSP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度(ISMAP)のクラウドサービスリストに登録されたクラウドサービスから一定の規定する要件を満たすものを提供するクラウドサービス提供事業者(Cloud Service Provider)をいう。)が提供するマネージドサービス機能や、デジタル庁で示しているリファレンスアーキテクチャを参考に具備することが考えられるセキュリティ対策に加え、ガバメントクラウドとして必要と考えられるガバナンス機能が適用される。

また、ガバメントクラウドにおいては、単にインフラ環境、クラウド環境を利用者に提供するものではなく、スマートなクラウド利用を促すことで、 インフラ構築工数の削減、インフラ環境の運用コスト削減、セキュリティ品質の向上、開発スピードの向上及び継続的な改善により、それら効果の最大化を目指している。

令和7年2月時点において、ガバメントクラウドとして利用できるクラウドサービスはAmazon Web Services, Inc. のAmazon Web Services(以下「AWS」という。)、グーグル・クラウド・ジャパン合同会社のGoogle Cloud、日本マイクロソフト株式会社のMicrosoft Azure(以下「Azure」という。)及び日本オラクル株式会社のOracle Cloud Infrastructure(以下「OCI」という。)となっている。(さくらインターネット株式会社の「さくらのクラウド」については、令和7年度末までに全ての技術要件を満たした後に利用可能となる見込み。)

本手順書の位置づけ

本手順書では、ガバメントクラウド移行への検討開始から、ガバメントクラウド利用終了までの作業のうち、地方公共団体が円滑にガバメントクラウドに移行するまでに必要となる、標準的な作業項目やフェーズごとに想定される主な作業手順等を掲載している。地方公共団体においては、本手順書を参考にしながら、ガバメントクラウドへの移行を推進していただきたい。

また、「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」を前提とした「ガバメントクラウド概要解説」、「ガバメントクラウド手続き概要」及びGCAS(オンボーディングツールとしてガバメントクラウドの情報提供、問合せ対応、利用申請、利用案内等を行うWebサービスであるGovernment Cloud Assistant Serviceをいう。)ポータル内のGCASガイドに掲載する各資料並びに各省庁において必要な助言や情報の提供等を行うためのツール(以下「PMOツール」という。)においてガバメントクラウドの概要や技術的な解説をしているため、併せて参照されたい。その際、ガバメントクラウドに関する全体的な考え方や技術方針については、「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」やガバメントクラウドの各資料を基本としつつ、地方公共団体固有の部分については本手順書の記載を優先的に参照されたい。

さらに、本手順書は、標準的な地方公共団体のガバメントクラウドへの移行手順書として作成されたものであるが、ガバメントクラウドへの移行は標準化法に基づく標準化・共通化の取組の一部であることから、総務省の「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」(以下「標準化手順書」という。)を参照することが望ましい。また、ガバメントクラウドの活用においてシステムのモダン化を検討するに当たっては、「ガバメントクラウド利用における推奨構成」についても参照いただきたい(上記整理を踏まえ、本手順書の位置付けについては、図に示す。)。

なお、「自治体情報システムの標準化・共通化に係る手順書」は総務省ホームページ、「ガバメントクラウド概要解説」、「ガバメントクラウド手続き概要」はGCASガイド、「地方公共団体標準準拠システムのガバメントクラウドの利用について」及び「ガバメントクラウド利用における推奨構成」はデジタル庁ホームページをそれぞれ参照されたい。

対象読者

本手順書は、ガバメントクラウドの利用を検討する、又は利用している地方公共団体の情報システムを管理する立場にある職員を主な対象読者としている。地方公共団体がガバメントクラウド移行作業を進める際の参考としていただきたい。

また、システムに係る事業者(守秘義務契約を有するガバメントクラウド運用管理補助者、回線運用管理補助者、アプリケーション開発事業者、通信回線事業者等)も本書の読者として想定している。地方公共団体の情報システム等の管理職員及び事業者は、本手順書に目を通し、ガバメントクラウド移行作業の支援範囲や支援内容等を検討する際に、参考材料として活用されたい。

本手順書の改訂方針

本手順書については、ガバメントクラウドの仕様変更、クラウドサービスの更改・仕様変更及び「政府情報システムにおけるクラウドサービスの適切な利用に係る基本方針」に変更がある場合には、必要に応じて改訂する。

特に、令和7年度以降においては、デジタル庁と利用者である地方公共団体との間において締結する、ガバメントクラウド利用権付与兼債務引受契約に基づき、地方公共団体はデジタル庁に対してクラウドサービス利用料金を支払う必要があることに留意すること。