行政事務標準文字テクニカルレポート
デジタル庁「行政事務標準文字テクニカルレポート」(2026/8)の本文。GJ 文字(UCS 未収録の追加文字)を 扱う情報システム向けに、GJ 暫定私用コードの扱い・情報交換の原則・Web フォント利用・移行時の推奨を定める。
- 原本: デジタル庁「地方公共団体情報システムにおける文字の標準化」掲載 PDF(6 ページ)。
- 本文は PDF のテキストを章立てどおりに整形したもの(文言は原本のまま。改行位置・箇条記号のみ整えた)。
- GJ 文字の一覧(GJ 文字図形名 ↔ GJ 暫定私用コード)は 行政事務標準文字 一覧・char-set.csv の
section=gj行。
1 本テクニカルレポートの目的
本テクニカルレポートは、行政事務標準文字のうち、UCS(ISO/IEC 10646)への将来的な収録を前提として管理されているものの、現時点ではコードポイントが確定していない追加文字(以下「GJ 文字」という)を扱う情報システムが、今後の標準化の進展を適切に取り込みながら、データの継続性と相互運用性を維持するうえで必要な技術情報を共有することを目的としている。
2 行政事務標準文字の位置づけと符号体系
2.1 行政事務標準文字の位置づけ
行政事務標準文字は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律(令和 3 年法律第 40 号)に基づく自治体基幹業務システムの標準化において、対象業務で共通して利用するために策定された文字集合である。行政事務標準文字を利用することで、戸籍をはじめとした住民システム由来の氏名等に使われる文字を正確に表記することができる。行政事務標準文字には、MJ 文字図形名が付与された文字と GJ 文字図形名が付与された文字が存在する。
2.2 GJ 文字の符号化
GJ 文字には、GJ 文字図形名(GJ000001〜)を割り当てている。現時点では、UCS(ISO/IEC 10646)におけるコードポイントが確定していないため、暫定符号として UCS の定める私用面(PUP:Private Use Plane)である第 16 面(U+100000〜U+10FFFF)のコードポイントを使用する。この体系を「GJ 暫定私用コード」と呼ぶ。
GJ 暫定私用コードは UCS の規定に則り、3.2 に述べる合意組織間のみで私的に共有するものとし、合意組織外へはそのまま伝送してはいけない。
GJ 文字図形名は、GJ 文字を識別するための安定した識別子として管理されるため、GJ 暫定私用コードよりも優先して使用すべきである。GJ 暫定私用コードは、暫定的にその時点での符号化であり、標準化の進展によって将来的に利用されなくなる可能性がある。以上の理由から、システム内部では、GJ 文字図形名を文字の識別子として利用することを推奨する。
3 情報交換における原則
3.1 組織内部
組織内部においては GJ 暫定私用コードを含む任意の符号体系を使用することができる。ただし、GJ 文字を GJ 文字図形名と対応付けておくことを推奨する(3.3 参照)。
3.2 合意組織間
GJ 暫定私用コードを本テクニカルレポートに基づき使用することに合意した組織(以下「合意組織」と呼ぶ)間においては、GJ 暫定私用コードを用いた情報交換を許容する。ただし以下の条件を満たすこと。
- 双方が同一バージョンの GJ 暫定私用コード体系を参照していることを確認すること
- 交換データにバージョン情報を付与することが推奨される
- GJ 暫定私用コードは、その符号体系を共有している組織間での使用に限る。字形描画まで含めてシステムとして一体的に提供する場合の内部伝送もこれに含まれる
3.3 GJ 符号対応表
組織内部では、GJ 暫定私用コードを含む任意の符号体系を使用することができるが、GJ 暫定私用コードは、標準化の進展等により将来的に変更または利用を推奨しなくなる可能性がある。
そこで、組織内において GJ 文字に対して使用している符号と、GJ 文字図形名との対応表(以後「GJ 符号対応表」と呼ぶ)を作成し、維持管理することが推奨される。
3.4 外部システムへの出力
合意組織外のシステムへの出力または公開配信を行う際は、GJ 暫定私用コードをそのまま外部に出力しないことが原則であり、その達成手段はシステムの要件に応じて以下から選択する。
- 縮退代替文字による出力 — JIS X 0213 等の範囲内の文字に変換して出力する。縮退方法は、合意組織間で共通の対応表を用いて実施する。
- 画像による出力 — グリフを画像として出力する(テキスト処理不可)。あるいは、GJ 暫定私用コードに用いるフォントを埋め込んだ PDF を出力する。
- 合意組織間での GJ 暫定私用コードのまま出力 — 受信側との事前合意を条件とする
縮退代替文字として出力する場合は、縮退マップに記載の縮退区分を参照し、意味的に忠実な変換か損失を伴う近似変換かを受信側が判別できるよう、縮退が生じた旨を出力データに付随させることを推奨する。
IVS 未対応の内部システムが後方互換として GJ 暫定私用コードを使用している場合も、外部出力の前段では GJ 符号対応表(3.3 参照)を経由して最新の UCS 符号に変換すること。
4 Web フォント利用の推奨
GJ 文字の描画は Web フォント(WOFF2 形式)を介したサーバーサイド字形配信を原則として選択する。クライアント側にフォントを組み込まず、GJ 文字図形名を元にして構成されたグリフ ID をキーにして必要なグリフのみを動的にサブセット配信する設計とする。
この設計により、次の効用が期待できる。
- 標準化が進展し、GJ 暫定私用コードが変更あるいは廃止されても cmap(符号→グリフ対応)の更新のみで追従でき、クライアント更新が不要になる
- GJ 暫定私用コードに対応するフォントをクライアントに配布・インストールさせる必要がない
GJ 文字を収録したフォントファイルは、組織内部における利用を妨げるものではない。一方で、フォントファイルを広く配布することは、GJ 暫定私用コードの利用範囲を意図せず拡大させるリスクがあるため、原則として行わない。フォントの配布が不可避な場合(オフライン端末等)は配布範囲を限定したうえで、受領者に対し当該 GJ 暫定私用コードは本テクニカルレポートに基づき利用することが求められ、そのまま第三者または他の情報システムへ提供してはならない旨を周知し、その取扱いについて理解を得ること。
5 システム移行時の推奨
情報システムを更改・移行する際は、GJ 暫定私用コードは変更あるいは利用を推奨しなくなる可能性があるため、データ移行の一環として保存済みのデジタル文書等について、使用されている GJ 暫定私用コードを最新の GJ 符号対応表(3.3 参照)で変換し、最新の符号体系に基づく文字コード列に移行することを推奨する。
本文書には、公共データ利用規約(第 1.0 版)(PDL1.0) が適用されます。PDL1.0 の規約は https://www.digital.go.jp/resources/open_data/public_data_license_v1.0 より入手できます。