第1章 本仕様書について

1.本仕様書の構成

第1章では、本仕様書の対象及び内容について記載している。

第2章では、第3章で規定する機能要件が業務上どのように位置づけられ、業務が「人が行う作業」と「システムが行う作業」に仕分けられるのか、制度所管省庁職員、地方自治体職員及び事業者の共通理解を促すため、それらに対応した標準的な業務フローを示している。現在の業務フローでは、本仕様書における機能要件どおりの機能で業務を行うことが難しいと考える地方自治体は、現在の業務フローを本仕様書に示す業務フローに寄せることで、本仕様書における機能要件どおりの機能で業務を行うことが期待される。

第3章、第4章及び第5章では、それぞれ、介護保険システムが備えるべき機能・帳票要件、データ要件・連携要件及び非機能要件について記載している。

第6章では、本仕様書において用いている用語について、解釈の紛れがないよう定義している。

2.対象

(1)対象自治体                     

本仕様書の対象自治体は、全ての市区町村(介護保険者)とする。なお、本仕様書における「市区町村」の区とは、特別区のことである。

また、介護保険制度の実施にあたり、複数の市区町村にて広域連合又は一部事務組合を設置し介護保険者として運営する場合も対象とする。

以下、特に断りがない限り、地方自治体と記載されている箇所は介護保険者である市町村及び広域連合又は一部事務組合をいう。

(2)対象分野                      

介護保険業務において、介護保険システムに関連するシステムは市区町村内のシステムに止まらず、外部機関のシステムも多数関係している。

図1-1 介護保険システムと関連するシステムの全体イメージ

本仕様書が規定する対象分野は、図1-2のとおりである。

図1-2 介護保険業務に係る標準化範囲内外のイメージ

このうち、地域支援事業や独自事業は、地域の実情に応じて住民サービス向上のため、地方自治体が創意工夫してサービスを実施しているものである。一方で、地域支援事業のうち、介護予防・日常生活支援総合事業(以下「総合事業」という。)は、介護保険の給付管理と密接に関わる事業であり、介護保険の給付管理と一体的に管理できることから、サービス・活動事業(介護保険法第115条の45第1項第1号に定める第一号事業を指す。以下同じ。)の一部は標準化範囲内とする。具体的には給付管理の対象となるサービスはサービス・活動事業のうち、指定事業者によるサービスを対象とする。総合事業の運用に係る機能・帳票要件として、サービス・活動事業の給付管理に係る要件、高額介護予防サービス費相当事業や高額医療合算介護予防サービス費相当事業に係る要件、その他必要な要件を定めることとする。

また、認定審査会の運用に必要な機能は、図1-3のとおり、厚生労働省より認定ソフトが配布されていることを踏まえ、機能や帳票に関する要件を定めている。なお、認定ソフトが提供する組込型の一次判定機能を利用しつつ認定審査会機能が介護保険システムに一体的に組み込まれている場合や介護保険システムとは分離している認定審査会機能を備えた認定審査会システムを利用している場合が考えられるが、これらのシステム構成でも差し支えないこととする。そのため、図1-3の②「認定審査会機能」及び③「認定審査会システム」の機能については、認定ソフトに実装された機能及び帳票を基本とし、認定ソフトと連携するための要件、組込型を利用するための要件、その他必要な要件については機能・帳票要件に定めている。

図1-3 認定審査会機能のシステム構築イメージ

地方公共団体情報システム標準化基本方針の「分割調達を可能とする標準準拠システムの機能標準化基準」において、標準仕様書のサブユニット対応により、標準準拠システムについて、一の業務をさらに細分化した単位での分割調達が可能となることが示されている。介護保険システムのサブユニットは、認定審査会システムとし、必要な連携機能を機能・帳票要件に定めている。

(3)対象項目                      

本仕様書では、以下の項目について規定する。

・機能・帳票要件(第3章)

・データ要件・連携要件(第4章)(※)

・非機能要件(第5章)

※ データ要件及び連携要件については、デジタル庁において策定されており、本仕様書の改版等に伴い適宜修正、整合、同期される。

以下の項目についてはカスタマイズの発生源になっている場合等を除き標準化範囲外とする。

・画面要件

・ヘルプやガイドの具体的内容等、業務遂行に必須ではなく専ら操作性に関する機能

以上の項目について、標準対象の区分と位置づけは以下のとおりである。

表1-1 標準対象の区分と位置付け

<凡例> ○:対象、△:参考、×:対象外

項目 標準対象 位置づけ
業務フロー △ 業務の運用イメージを確認でき、地方自治体、ベンダへ共通理解を促すための標準的な運用モデルとして定義する。

機能要件

機能要件 ○ 最も効率的な運用を検討し、標準化する機能を定義する。
画面要件(専ら操作性・表示/非表示設定) × 利用しない機能を非表示にすること等の画面要件については、カスタマイズの発生源になっている場合等を除き、原則標準化範囲外とする。
帳票要件(外部) ○ 基本的には住民や事業者等の外部に向けた帳票について、最も効率的な運用を検討し、標準化する帳票を定義する。帳票要件として定義している帳票は、省令等により定められた帳票がないものであっても、データ項目を揃える観点から標準を定義する。
出力項目 ○
レイアウト ○
データ要件 ○ データ要件の標準に定めるとおりとする。(※)
連携要件 ○ 連携要件の標準に定めるとおりとする。(※)

非機能要件

可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・エコロジー ○ 令和2年9月に内閣官房IT室より提示された「地方自治体の業務プロセス・情報システムの非機能要件の標準(標準非機能要件)」に準じる方針とするほか、介護保険システム独自に定義が必要な非機能要件について定義する。

(※)デジタル庁が策定する。

3.本仕様書の内容

(1)標準化範囲内の類型                 

本仕様書の対象は「2(2)対象分野」で示したとおりであり、この対象範囲において定義すべき機能・帳票要件について、【類型1:実装必須機能】【類型2:実装不可機能】【類型3:標準オプション機能】の3類型に分類した。

主な類型に関する考え方は以下のとおりである。

  1. 3類型に分類されていない機能(標準仕様書に規定していない機能)は、原則、類型2と同様のものとして位置付ける。

  2. 類型1、類型3について、システムへの実装方法は問わない。

例)「被保険者証を一括出力できること」の要件について、一覧表示画面で確認後に一括印刷する、あらかじめ指定した条件で自動的に一括印刷する、という実装方法は問わない。

表1-2 標準化範囲内の機能における類型の分類

分類 類型 説明 地方自治体 ベンダ

標準化

範囲内

類型1 実装必須機能 標準仕様として実装が必須となる機能 利用可能 実装必須
類型2 実装不可機能

標準仕様として実装が不可となる機能

(標準仕様書に明示)

利用不可 実装不可
類型3 標準オプション機能 オプションとして実装しても良い機能 利用可能 実装任意
-

上記以外

(仕様書に規定しない)

標準仕様書に掲載はしていないが、実装が不可となる 利用不可 実装不可

表1-3 類型の考え方

実装必須機能

全ての団体で、

必須機能である/実装が望ましい

・当該機能・帳票がないとシステム化の意義が薄まる/全団体で効率化や住民サービス向上の効果が得られるため、必須又は実装が望ましい機能・帳票と結論できる
最適なものとして合意できる ・団体の業務運用が複数パターンあることに起因して機能・帳票に差が出ているが、最も効率的な/本来あるべき運用に沿った機能・帳票を定義できる
・都道府県条例や運用方式に起因して機能・帳票に差が出ているが、全団体で利用可能な標準仕様としての機能・帳票を定義できる
・将来的な住民サービス等の在り方や自治体DXの推進施策等を踏まえ、システム実装についての指針を出すべきと判断できる

標準オプション

機能

団体によっては、

業務上の必要性が認められる/実装が望ましい

・全ての団体で必須ではないが、政策/条例/住民サービスの実施方式により、一部の団体においては必須である
・全ての団体で必須ではないが、団体の規模によっては対象のデータ数が数万件に達する/団体の組織体制(機能を集約している、支所があるなど)/外部委託の有無など、当該機能・帳票がないと業務が大幅に非効率になる
実装不可機能 利用頻度が少ないものや代替手段が可能なもの/法改正等により不要となったもの ・団体の内部で利用する帳票や集計など、EUC機能やExcel等の代替手段があるもの
・法改正や通知等により利用する必要が無くなった管理項目や機能・帳票(未利用となった管理項目はデータ移行の対象外となるため、実装しない機能として扱う)

表1-2で示した3類型の考え方は次のとおりである。

図1-4 3類型の考え方

実装必須であっても、例えば、図1-5のように保険料収納・滞納管理については統合収納管理機能及び統合滞納管理機能(以下、「統合収滞納管理機能」という。)を利用することも考えられる。なお、統合収滞納管理機能は「地方公共団体情報システム共通機能標準仕様書」に規定されているとおりである。

図1-5 保険料収納・滞納管理における標準化範囲のイメージ

(2)調達時の留意点                   

地方自治体は、契約期間等を設定した上で、調達を行うことになる。この調達時に改めて本仕様書に示した個別の要件をひとつひとつ提示してRFI(request for information)、RFP(request for proposal)やFit & Gap分析を行うのではなく、本仕様書に準拠・適合するシステムであることを要件に付すことにより、調達することが可能である。

また、地方自治体は、画面要件や必要なオプション機能、標準化対象外システムとの相互運用、ガバメントクラウドへの移行対応等を中心に審査要領を定め、必要な機能等を備えたベンダのシステムを選定し、調達することが可能である。

(3)地方自治体の調達仕様書の範囲との関係        

地方自治体においては、本仕様書の標準化範囲外の機能(「2(2)対象分野」の標準化範囲外の機能等)や他の標準準拠システムと併せて調達すること等も想定され、地方自治体の調達仕様書の範囲と標準仕様書の範囲は必ずしも一致しない場合がある。この場合であっても、各地方自治体の情報システムの調達において、本仕様書の標準化範囲内の業務が本仕様書に記載された内容で調達する限りにおいては、このような対応も許容される。

※ 例えば、同一のパッケージを採用している団体は、住民記録や税務等の分野も併せて調達することになるが、その場合は、調達仕様書の範囲と併せてそれぞれの仕様書を組み合わせて活用することが考えられる。

(4)本仕様書の改定                   

本仕様書については、制度改正等の政策上必要と判断されるものや標準仕様書をより効果的な内容とするためのもの等を契機として改定することがある。本仕様書の解釈等の記載や誤記の訂正については、標準仕様書の改定ではなく、正誤表で対応することがある。本仕様書を改定する場合は、デジタル庁が示す「標準仕様書の改定・運用に関する基本的な考え方」を踏まえる。