第4-3 特定個人情報の提供制限等
第4-3-⑴ 個人番号の提供の要求
要点
○ 個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者は、個人番号関係事務又は個人番号利用事務を処理するために必要がある場合に限って、本人又は他の個人番号関係事務実施者若しくは個人番号利用事務実施者に対して個人番号の提供を求めることができる。(関係条文)
- 番号法 第14条
-
1 提供の要求(番号法第14条第1項)
事業者は、個人番号関係事務又は個人番号利用事務を行うため、本人又は他の個人番号関係事務実施者若しくは個人番号利用事務実施者から個人番号の提供を受ける必要がある。番号法第14条第1項は、個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者(同法第9条第3項の規定により情報提供用個人識別符号を利用する者を除く。以下この項及び2において同じ。)が個人番号の提供を求めるための根拠となる規定である。
個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者は、本条により、個人番号関係事務又は個人番号利用事務を処理するために必要がある場合、本人又は他の個人番号関係事務実施者若しくは個人番号利用事務実施者に対し個人番号の提供を求めることとなる。
A 本人に対する個人番号の提供の要求
事業者は、本条を根拠として、従業員等に対し、給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等に必要な個人番号の提供を、また、講演料、地代等に係る個人の支払先に対し、支払調書作成事務に必要な個人番号の提供をそれぞれ求めることとなる。B 他の個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者に対する個人番号の提供の要求
事業者は、本条を根拠として、従業員等に対し、給与の源泉徴収事務のため、当該従業員等の扶養親族の個人番号を記載した扶養控除等申告書の提出を求めることとなる。この場合、従業員等は扶養親族の個人番号を記載した扶養控除等申告書を提出する法令(所得税法第194条第1項)上の義務を負っていることから「個人番号関係事務実施者」として取り扱われる。 -
2 提供を求める時期
個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者は、個人番号関係事務又は個人番号利用事務を処理するために必要があるときに個人番号の提供を求めることとなる。
事業者が行う個人番号関係事務においては、個人番号関係事務が発生した時点で個人番号の提供を求めることが原則であるが、本人との法律関係等に基づき、個人番号関係事務の発生が予想される場合には、契約を締結した時点等の当該事務の発生が予想できた時点で個人番号の提供を求めることが可能であると解される。なお、契約内容等から個人番号関係事務が明らかに発生しないと認められる場合には、個人番号の提供を求めてはならない。
- * 従業員等の給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等に伴う給与所得の源泉徴収票、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届等の作成事務の場合は、雇用契約の締結時点で個人番号の提供を求めることも可能であると解される。
- * 非上場会社の株主に対する配当金の支払に伴う支払調書の作成事務の場合は、所得税法第224条第1項及び同法施行令第336条第1項の規定により支払の確定の都度、個人番号の告知を求めることが原則であるが、当該株主が株主としての地位を得た時点で個人番号の提供を求めることも可能であると解される。
- * 地代等の支払に伴う支払調書の作成事務の場合は、賃料の金額により契約の締結時点で支払調書の作成が不要であることが明らかである場合を除き、契約の締結時点で個人番号の提供を求めることが可能であると解される。
第4-3-⑵ 個人番号の提供の求めの制限、特定個人情報の提供制限
要点
○ 番号法で限定的に明記された場合を除き、個人番号の提供を求めてはならない。→1○ 番号法で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を提供してはならない。→2
(関係条文)
- 番号法 第15条、第19条、第30条第2項
- 個人情報保護法 第27条
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1 提供の求めの制限(番号法第15条)
何人も、番号法第19条各号のいずれかに該当し特定個人情報の提供を受けることができる場合を除き、他人(注)の個人番号の提供を求めてはならない。
事業者が個人番号の提供を求めることとなるのは、従業員等に対し、社会保障、税、災害対策その他の行政分野に関する特定の事務のために個人番号の提供を求める場合等に限られる。
- * 事業者は、給与の源泉徴収事務を処理する目的で、従業員等に対し、個人番号の提供を求めることとなる。一方、従業員等の営業成績等を管理する目的で、個人番号の提供を求めてはならない。
(注)番号法第15条及び第20条において、他人とは「自己と同一の世帯に属する者以外の者」であり、子、配偶者等の自己と同一の世帯に属する者に対しては、同法第19条各号のいずれかに該当しなくても、個人番号の提供を求めることができる。
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2 特定個人情報の提供制限(番号法第19条)
何人も、番号法で限定的に明記された場合を除き、特定個人情報を「提供」してはならない。
事業者が特定個人情報を提供できるのは、社会保障、税、災害対策その他の行政分野に関する特定の事務のために従業員等の特定個人情報を行政機関等及び健康保険組合等に提供する場合等に限られる。
A 「提供」の意義について
「提供」とは、法的な人格を超える特定個人情報の移動を意味するものであり、同一法人の内部等の法的な人格を超えない特定個人情報の移動は「提供」ではなく「利用」に当たり、利用制限(番号法第9条、第29条、第30条第2項)に従うこととなる。なお、個人情報保護法においては、特定の者との間で共同して利用される個人データが当該特定の者に提供される場合には、第三者提供に当たらないとしている(個人情報保護法第27条第5項第3号)が、番号法においては、個人情報保護法第27条第5項第3号の適用を除外している(番号法第30条第2項)ことから、この場合も通常の「提供」に当たり、提供制限(同法第14条から第16条まで、第19条、第20条、第30条第2項)に従うこととなる。
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* 「提供」に当たらない場合
事業者甲の中のX部からY部へ特定個人情報が移動する場合、X部、Y部はそれぞれ甲の内部の部署であり、独立した法的人格を持たないから、「提供」には当たらない。例えば、営業部に所属する従業員等の個人番号が、営業部庶務課を通じ、給与所得の源泉徴収票を作成する目的で経理部に提出された場合には、「提供」には当たらず、法令で認められた「利用」となる。
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* 「提供」に当たる場合
事業者甲から事業者乙へ特定個人情報が移動する場合は「提供」に当たる。同じ系列の会社間等での特定個人情報の移動であっても、別の法人である以上、「提供」に当たり、提供制限に従うこととなるため留意が必要である。例えば、ある従業員等が甲から乙に出向又は転籍により異動し、乙が給与支払者(給与所得の源泉徴収票の提出義務者)になった場合には、甲・乙間で従業員等の個人番号を受け渡すことはできず、乙は改めて本人から個人番号の提供を受けなければならない。ただし、Bdに該当する場合には、甲から乙に対し、個人番号を提供することが認められる。
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* 同じ系列の会社間等で従業員等の個人情報を共有データベースで保管しているような場合、従業員等が現在就業している会社のファイルにのみその個人番号を登録し、他の会社が当該個人番号を参照できないようなシステムを採用していれば、共有データベースに個人番号を記録することが可能であると解される。
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* 上記の事例において、従業員等の出向に伴い、本人の同意を得ることなく、共有データベース内で自動的にアクセス制限を解除する等して出向元の会社のファイルから出向先の会社のファイルに個人番号を移動させることは、提供制限に違反することになるので、留意する必要がある。
B 特定個人情報を提供できる場合**(番号法第19条第1号から第17号まで)**
特定個人情報を提供できる場合として、番号法第19条各号が定めているもののうち事業者が関わるものは、次のとおりである。-
a 個人番号利用事務実施者からの提供(第1号)
個人番号利用事務実施者(同法第9条第3項の規定により情報提供用個人識別符号を利用する者を除く。以下この号において同じ。)が、個人番号利用事務を処理するために、必要な限度で本人、代理人又は個人番号関係事務実施者に特定個人情報を提供する場合である。
- * 市区町村長(個人番号利用事務実施者)は、住民税を徴収(個人番号利用事務)するために、事業者に対し、その従業員等の個人番号と共に特別徴収税額を通知することができる。
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b 個人番号関係事務実施者からの提供(第2号)
個人番号関係事務実施者は、個人番号関係事務を処理するために、法令に基づき、行政機関等、健康保険組合等又はその他の者に特定個人情報を提供することとなる。
- * 事業者(個人番号関係事務実施者)は、所得税法第226条第1項の規定に従って、給与所得の源泉徴収票の提出という個人番号関係事務を処理するために、従業員等の個人番号が記載された給与所得の源泉徴収票を作成し、税務署長に提出することとなる。
- * 事業者の従業員等(個人番号関係事務実施者)は、所得税法第194条第1項の規定に従って、扶養控除等申告書の提出という個人番号関係事務を処理するために、事業者(個人番号関係事務実施者)に対し、その扶養親族の個人番号を記載した扶養控除等申告書を提出することとなる。
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c 本人又は代理人からの提供(第3号)
本人又はその代理人は、個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者に対し、本人の個人番号を含む特定個人情報を提供することとなる。
* 本人は、給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等のために、個人番号関係事務実施者である事業者に対し、自己(又はその扶養親族)の個人番号を書類に記載して提出することとなる。
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d 使用者等から他の使用者等に対する従業者等に関する特定個人情報の提供(第4号)
従業者等(従業者、法人の業務を執行する役員又は国若しくは地方公共団体の公務員をいう。以下本号において同じ。)の出向・転籍・退職等があった場合において、当該従業者等の同意があるときは、出向・転籍・退職等前の使用者等(使用者、法人又は国若しくは地方公共団体をいう。以下本号において同じ。)から出向・転籍・再就職等先の使用者等に対して、その個人番号関係事務を処理するために必要な限度で、当該従業者等の個人番号を含む特定個人情報を提供することができる。
本号に基づく特定個人情報の提供は、従業者等の出向・転籍・退職等があった場合に、当該従業者等の同意を得た上で、行われるものである。
そのため、出向・転籍・退職等前の使用者等は、当該従業者等の出向・転籍・再就職等先の決定以後に、個人番号を含む特定個人情報の具体的な提供先を明らかにした上で、当該従業者等から同意を取得することが必要となる。
なお、本号により特定個人情報の提供を受けた使用者等は、番号法第16条に基づく本人確認は不要である。
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* 本号に基づき提供が認められる特定個人情報の範囲は、社会保障、税分野に係る健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、給与支払報告書や支払調書の提出など、出向・転籍・再就職等先の使用者等が「その個人番号関係事務を処理するために必要な限度」に限定される。
例えば、従業者等の氏名、住所、生年月日等や前職の給与額等については、これらの社会保障、税分野に係る届出、提出等に必要な情報であることが想定されるため、本号に基づく提供が認められる。一方、個別の事案ごとに、具体的に判断されることになるが、前職の離職理由等の、当該届出、提出等に必要な情報であるとは想定されない情報については、本号に基づく提供は認められないと解される。
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* 「従業者等の同意を得」るとは、従業者等の承諾する旨の意思表示を使用者等が認識することをいい、特定個人情報の取扱状況に応じ、従業者等が同意に係る判断を行うために必要と考えられる合理的かつ適切な方法によらなければならない。
具体的には、どのような特定個人情報が出向・転籍・再就職等先の使用者等に対して提供されることになるのか、従業者等が認識した上で、同意に係る判断を行うことができるよう、出向・転籍・退職等前の使用者等は留意する必要がある。
従業者等からの同意の取得については、従業者等からの同意する旨の口頭による意思表示のほか、従業者等からの同意する旨の書面(電磁的記録を含む。)の受領、従業者等からの同意する旨のメールの受信、従業者等による同意する旨の確認欄へのチェック、従業者等による同意する旨のウェブ上のボタンのクリック、従業者等による同意する旨のタッチパネルへのタッチ、ボタン等による入力等によることが考えられる。
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e 委託、合併に伴う提供(第6号)
特定個人情報の取扱いの全部若しくは一部の委託又は合併その他の事由による事業の承継が行われたときは、特定個人情報を提供することが認められている。
- * 事業者が、源泉徴収票作成事務を含む給与事務を子会社に委託する場合、その子会社に対し、従業員等の個人番号を含む給与情報を提供することができる。
- * 甲社が乙社を吸収合併した場合、吸収される乙社は、その従業員等の個人番号を含む給与情報等を存続する甲社に提供することができる。
- * 個人番号関係事務又は個人番号利用事務の委託を受けた者が、番号法第10条の規定に違反して、最初の委託者の許諾を得ずに当該個人番号関係事務又は個人番号利用事務を再委託した場合、当該再委託に伴う特定個人情報の提供は同法第19条第6号の提供に該当しないため、提供制限にも違反することとなる。
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f 情報提供ネットワークシステムによる提供(第8号及び第9号、番号法施行令第20条)
利用特定個人情報(注1)を記録した特定個人情報ファイルを保有する者として主務省令で定める番号法別表の各項の上欄に掲げる行政機関等及び健康保険組合等(準法定事務処理者(注2)を含む。)が、特定個人番号利用事務(注3)に関し、情報提供ネットワークシステム(番号法第2条第15項)を使用して利用特定個人情報の提供を行うものである。また、同法第9条第2項の規定に基づき条例で定める事務のうち特定個人番号利用事務に準じて迅速に特定個人情報の提供を受けることによって効率化を図るべきものとして個人情報保護委員会規則(以下「委員会規則」という。)で定める事務を処理するために必要な利用特定個人情報を記録した特定個人情報ファイルを保有する者として委員会規則で定める個人番号利用事務実施者が、情報提供ネットワークシステムを使用して利用特定個人情報の提供を行うものもある。したがって、番号法別表の各項の上欄に記載されている健康保険組合等(準法定事務処理者を含む。)以外の事業者は、情報提供ネットワークシステムを使用することはない。
- (注1)「利用特定個人情報」とは、「特定個人番号利用事務」(注3)を処理するために必要な特定個人情報として主務省令で定めるものをいう。
- (注2)「準法定事務処理者」とは、「準法定事務」(番号法別表の各項の下欄に掲げる事務に準ずる事務として主務省令で定めるものをいう。)を処理する者として主務省令で定めるものをいう。
- (注3)「特定個人番号利用事務」とは、番号法別表の各項の下欄に記載されている事務のうち、迅速に特定個人情報の提供を受けることによって効率化を図るべきものとして主務省令で定めるものをいう。
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g 委員会からの提供の求め(第13号)
委員会が、特定個人情報の取扱いに関し、番号法第35条第1項の規定により、特定個人情報の提出を求めた場合には、この求めに応じ、委員会に対し、特定個人情報を提供しなければならない。
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h 各議院審査等その他公益上の必要があるときの提供(第15号、番号法施行令第25条、同施行令別表)
①各議院の審査、調査の手続、②訴訟手続その他の裁判所における手続、③裁判の執行、④刑事事件の捜査、⑤租税に関する法律の規定に基づく犯則事件の調査、⑥会計検査院の検査が行われるとき、⑦公益上の必要があるときには、特定個人情報を提供することができる。⑦の公益上の必要があるときは、番号法施行令第25条で定められており、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和22年法律第54号)の規定による犯則事件の調査(番号法施行令別表第2号)、「金融商品取引法」(昭和23年法律第25号)の規定による犯則事件の調査(同表第4号)、租税調査(同表第8号)、個人情報保護法の規定による報告徴収(同表第19号)、「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(平成19年法律第22号)の規定による届出(同表第21号)等がある。
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i 人の生命、身体又は財産の保護のための提供(第16号)
人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合において、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であるときは、特定個人情報を提供することができる。
* 客が小売店で個人番号カードを落としていった場合、その小売店は警察に遺失物として当該個人番号カードを届け出ることができる。
C 個人情報保護法上の第三者提供との違い
個人情報保護法は、個人情報取扱事業者に対し、個人データについて、本人の同意がある場合、法令の規定に基づく場合等には、第三者に提供することができることとしている。番号法においては、全ての事業者を対象に、同法第19条で特定個人情報を提供できる場合を限定的に定めており、特定個人情報の提供については、個人情報保護法第27条は適用されない。
特定個人情報の提供を求められた場合には、その提供を求める根拠が、番号法第19条各号に該当するものかどうかをよく確認し、同条各号に該当しない場合には、特定個人情報を提供してはならない。
* 個人情報保護法第33条に基づく開示の請求、同法第34条に基づく訂正等の請求又は同法第35条に基づく利用停止等の請求において、本人から個人番号を付して請求が行われた場合や本人に対しその個人番号又は特定個人情報を提供する場合は、番号法第19条各号に定めはないものの、法の解釈上当然に特定個人情報の提供が認められるべき場合であり、特定個人情報を提供することができる。
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第4-3-⑶ 収集・保管制限
要点
○ 番号法第19条各号のいずれかに該当する場合を除き、特定個人情報を収集又は保管してはならない。(関係条文)
- 番号法 第20条
- 個人情報保護法 第22条
●収集・保管の制限(番号法第20条)
何人も、番号法第19条各号のいずれかに該当する場合を除き、他人(注)の個人番号を含む特定個人情報を収集又は保管してはならない。
- (注)番号法第15条及び第20条において、他人とは「自己と同一の世帯に属する者以外の者」であり、子、配偶者等の自己と同一の世帯に属する者の特定個人情報は、同法第19条各号のいずれかに該当しなくても、収集又は保管することができる。
A 収集制限
「収集」とは、集める意思を持って自己の占有に置くことを意味し、例えば、人から個人番号を記載したメモを受け取ること、人から聞き取った個人番号をメモすること等、直接取得する場合のほか、電子計算機等を操作して個人番号を画面上に表示させ、その個人番号を書き取ること、プリントアウトすること等を含む。一方、特定個人情報の提示を受けただけでは、「収集」に当たらない。
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* 事業者の給与事務担当者として個人番号関係事務に従事する者が、その個人番号関係事務以外の目的で他の従業員等の特定個人情報をノートに書き写してはならない。
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* 事業者の中で、単に個人番号が記載された書類等を受け取り、支払調書作成事務に従事する者に受け渡す立場の者は、独自に個人番号を保管する必要がないため、個人番号の確認等の必要な事務を行った後はできるだけ速やかにその書類を受け渡すこととし、自分の手元に個人番号を残してはならない。
例えば、事業者が講師に対して講演料を支払う場合において、講師から個人番号が記載された書類等を受け取る担当者と支払調書作成事務を行う担当者が異なるときは、書類等を受け取る担当者は、支払調書作成事務を行う担当者にできるだけ速やかにその書類を受け渡すこととし、自分の手元に個人番号を残してはならない。
なお、個人番号が記載された書類等を受け取る担当者も、個人番号関係事務に従事する事業者の一部として当該事務に従事するのであるから、当該個人番号により特定される本人から当該書類等を受け取る際に、当該書類等の不備がないかどうか個人番号を含めて確認することができる。
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* 番号法第10条において、最初の委託者の許諾を得ずに個人番号関係事務又は個人番号利用事務の再委託を行うことは認められない点が明示されており、当該再委託に伴う特定個人情報の提供は、同法第19条各号のいずれにも該当しない。
このため、最初の委託者の許諾を得ていることを確認せずに個人番号関係事務又は個人番号利用事務の再委託を受け、結果として、最初の委託者の許諾を得ていない再委託に伴って特定個人情報を収集した場合、番号法違反と判断される可能性がある。
ただし、例えば、個人番号を取り扱う委託業務であることが委託契約書等において明らかでないなど、当該再委託が「個人番号関係事務又は個人番号利用事務の再委託」に該当することを、当該再委託を受ける者が認識できない状況で再委託が行われていた場合は、一般に、特定個人情報を収集したとは解されない。
B 保管制限と廃棄
個人番号は、番号法で限定的に明記された事務を処理するために収集又は保管されるものであるから、それらの事務を行う必要がある場合に限り特定個人情報を保管し続けることができる。また、個人番号が記載された書類等については、所管法令によって一定期間保存が義務付けられているものがあるが、これらの書類等に記載された個人番号については、その期間保管することとなる。
一方、それらの事務を処理する必要がなくなった場合で、所管法令において定められている保存期間を経過した場合には、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならない。なお、その個人番号部分を復元できない程度にマスキング又は削除した上で保管を継続することは可能であるが、それが個人データに該当する場合において、利用する必要がなくなったときは、その個人データを遅滞なく消去するよう努めなければならない(個人情報保護法第22条)。
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* 事業者は、給与の源泉徴収事務を処理する目的で、従業員等の個人番号を保管することができる。一方、従業員等の営業成績等を管理する目的で、従業員等の個人番号を保管することはできない。
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* 雇用契約等の継続的な契約関係にある場合には、従業員等から提供を受けた個人番号を給与の源泉徴収事務、健康保険・厚生年金保険届出事務等のために翌年度以降も継続的に利用する必要が認められることから、特定個人情報を継続的に保管できると解される。なお、従業員等が休職している場合には、復職が未定であっても雇用契約が継続していることから、特定個人情報を継続的に保管できると解される。
土地の賃貸借契約等の継続的な契約関係にある場合も同様に、支払調書の作成事務のために継続的に個人番号を利用する必要が認められることから、特定個人情報を継続的に保管できると解される。
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* 扶養控除等申告書は、所得税法施行規則第76条の3により、当該申告書の提出期限(毎年最初に給与等の支払を受ける日の前日まで)の属する年の翌年1月10日の翌日から7年を経過する日まで保存することとなっていることから、当該期間を経過した場合には、当該申告書に記載された個人番号を保管しておく必要はなく、原則として、個人番号が記載された扶養控除等申告書をできるだけ速やかに廃棄しなければならない。
そのため、個人番号が記載された扶養控除等申告書等の書類については、保存期間経過後における廃棄を前提とした保管体制をとることが望ましい。
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* 給与所得の源泉徴収票、支払調書等の作成事務のために提供を受けた特定個人情報を電磁的記録として保存している場合においても、その事務に用いる必要がなく、所管法令で定められている保存期間を経過した場合には、原則として、個人番号をできるだけ速やかに廃棄又は削除しなければならない。
そのため、特定個人情報を保存するシステムにおいては、保存期間経過後における廃棄又は削除を前提としたシステムを構築することが望ましい。
※ 廃棄方法等の具体的な内容については、「(別添1)特定個人情報に関する安全管理措置(事業者編)」を参照のこと。
第4-3-⑷ 本人確認
●本人確認(番号法第16条)
本人確認については、番号法、番号法施行令、番号法施行規則(注)及び個人番号利用事務実施者(番号法第9条第3項の規定により情報提供用個人識別符号を利用する者を除く。)が認める方法に従うこととなるため、適切に対応する必要がある。
(注)番号法施行規則とは、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則」(平成26年内閣府・総務省令第3号)をいう(以下同じ。)。
〈参考1:本人確認の概要〉
番号法、番号法施行令及び番号法施行規則における本人確認の概要は、次のとおりである。この項目において、「法」は番号法、「令」は番号法施行令、「規」は番号法施行規則をいう(番号法施行規則第1条第1項第1号の場合は、「規1①一」と表記する。)。
① 本人から個人番号の提供を受ける場合
-
ⅰ 個人番号カードの提示を受ける場合
「個人番号カード」(法16一)
-
ⅱ カード代替電磁的記録の送信を受ける場合
内閣総理大臣が提供するプログラム又は内閣総理大臣の認定を受けたプログラムを用いた確認(法16二)
-
ⅲ ⅰ及びⅱ以外の場合
-
(ⅰ)書類の提示を受ける場合等
- 「番号確認書類」
(令12①一)
└→ 住民票の
写し等
└→ 困難な場合
(規2①)\ - +「本人の身元確認書類」
(令12①二)
└→ 運転免許証等(規1)
├─→ 困難な場合(規2③)
│ └→ 財務大臣等の特則(規2④)
├→ 電話による場合(規2⑤)
└→ 特定の個人と同一の者であることが明らかな場合
(規2⑥)
- 「番号確認書類」
-
(ⅱ)電子情報処理組織を使用して個人番号の提供を受ける場合
個人番号カードのICチップの読み取り、電子署名等の送信、個人番号利用事務実施者による地方公共団体情報システム機構への確認等(規3)
② 本人の代理人から個人番号の提供を受ける場合
-
ⅰ 書類の提示を受ける場合等
- 「代理権確認書類」
(令12②一)
└→ 戸籍謄本、
委任状等
(規6①一、二)
├→ 困難な場合
│ (規6①三)
├→ 代理人が法人の
│ 場合(規6②)
│
└→ 電話による場合
(規9③)\ - +「代理人の身元確認書類」
(令12②二)
└→ 個人番号カード、
運転免許証等
(規7①)
├→ 代理人が法人の場合
│ (規7②)
├→ 困難な場合
│ (規9①)
│ └→財務大臣等の特則
│ (規9②)
├→ 電話による場合
│ (規9③)
└→ 特定の個人と同一の者である
ことが明らかな場合(規9④) - +「本人の番号確認書類」
(令12②三)
└→ 本人に係る
個人番号カード等
(規8)
└→ 困難な場合
(規9⑤)\
- 「代理権確認書類」
-
ⅱ 電子情報処理組織を使用して個人番号の提供を受ける場合
代理権証明情報及び代理人の電子署名等の送信、個人番号利用事務実施者による地方公共団体情報システム機構への確認等(規10)
※ 書面の送付により個人番号の提供を受ける場合は、上記で提示を受けることとされている書類又はその写しの提出を受けなければならない(規11)。
〈参考2:通知カードの廃止に係る経過措置〉
「情報通信技術の活用による行政手続等に係る関係者の利便性の向上並びに行政運営の簡素化及び効率化を図るための行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律等の一部を改正する法律」(令和元年法律第16号。以下「デジタル手続法」という。)の一部施行により、これまで番号確認書類として利用可能であった通知カード(デジタル手続法第4条の規定による改正前の番号法第7条第1項に規定する通知カードをいう。)は廃止された。
ただし、経過措置が設けられており、個人番号関係事務実施者又は個人番号利用事務実施者が、通知カードの交付を受けている者から個人番号の提供を受けるときは、通知カードの廃止日(令和2年5月25日)以後、当該通知カードに係る記載事項に変更がない場合に限り、従来と同様に、次に掲げる方法により、通知カードを本人確認に利用することができる。なお、当該廃止日前に当該通知カードに係る記載事項に変更があった場合に、市町村長(特別区の区長を含む。)から記載事項の変更の措置を受けていなければ、当該経過措置は適用されない。
① 本人から個人番号の提供を受ける場合
「通知カード」+「本人の身元確認書類」
(旧法(注1)16)(旧規(注2)1①)
├→ 運転免許証等(旧規1①一、二)
│ └→ 困難な場合(旧規1①三)
│ └→ 財務大臣等の特則(旧規1③一から四まで)
│ └→ 困難な場合(旧規1③五)
└→ 特定の個人と同一の者であることが明らかな場合(旧規3⑥)\
② 本人の代理人から個人番号の提供を受ける場合
- 「代理権確認書類」
(旧令(注3)12②一)
└→ 戸籍謄本、
委任状等
(旧規6①一、二)
├→ 困難な場合
│ (旧規6①三)
├→ 代理人が法人の
│ 場合(旧規6②)
│
│
└→ 電話による場合
(旧規9③)\ - +「代理人の身元確認書類」
(旧令12②二)
└→ 個人番号カード、
運転免許証等
(旧規7①)
├→ 代理人が法人の場合
│ (旧規7②)
├→ 困難な場合
│ (旧規9①)
│ └→ 財務大臣等の特則
│ (旧規9②)
├→ 電話による場合
│ (旧規9③)
└→ 特定の個人と同一の者である
ことが明らかな場合(旧規9④)\ - +「本人の番号確認書類」
(旧令12②三)
└→ 本人に係る
通知カード
(旧規8)\
※ 書面の送付により個人番号の提供を受ける場合は、上記で提示を受けることとされている書類又はその写しの提出を受けなければならない(旧規11)。
- (注1)「デジタル手続法」第4条の規定による改正前の番号法をいう。
- (注2)「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則の一部を改正する命令」(令和2年内閣府・総務省令第6号)による改正前の番号法施行規則をいう。
- (注3)「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行令の一部を改正する政令」(令和2年政令第164号)による改正前の番号法施行令をいう。