第2部 情報セキュリティ対策の基本的枠組み
2.1 導入・計画
2.1.1 組織・体制の整備
目的・趣旨
情報セキュリティ対策は、それに係る全ての職員等が、職制及び職務に応じて与えられている権限と責務を理解した上で、負うべき責務を全うすることで実現される。そのため、それらの権限と責務を明確にし、必要となる組織・体制を整備する必要がある。特に最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策を着実に進めるために、自らが組織内を統括し、組織全体として計画的に対策が実施されるよう推進しなければならない。
なお、最高情報セキュリティ責任者は、統一基準に定められた自らの担務を、最高情報セキュリティ副責任者その他の統一基準に定める責任者に担わせることができる。
遵守事項
(1) 最高情報セキュリティ責任者及び最高情報セキュリティ副責任者の設置
(a) 機関等は、機関等における情報セキュリティに関する事務を統括する最高情報セキュリティ責任者1人を置くこと。
(b) 機関等は、最高情報セキュリティ責任者を助けて機関等における情報セキュリティに関する事務を整理し、最高情報セキュリティ責任者の命を受けて機関等の情報セキュリティに関する事務を統括する最高情報セキュリティ副責任者1人を必要に応じて置くこと。
(2) 情報セキュリティ委員会の設置
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、対策基準等の審議を行う機能を持つ組織として、情報セキュリティ対策推進体制及びその他業務を実施する部局の代表者を構成員とする情報セキュリティ委員会を置くこと。
(3) 情報セキュリティ監査責任者の設置
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、その指示に基づき実施する監査に関する事務を統括する者として、情報セキュリティ監査責任者1人を置くこと。
(4) 統括情報セキュリティ責任者・情報セキュリティ責任者等の設置
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、業務の特性等から同質の情報セキュリティ対策の運用が可能な組織のまとまりごとに、情報セキュリティ対策に関する事務を統括する者として、情報セキュリティ責任者1人を置くこと。そのうち、情報セキュリティ責任者を統括し、最高情報セキュリティ責任者及び最高情報セキュリティ副責任者を補佐する者として、統括情報セキュリティ責任者1人を選任すること。
(b) 情報セキュリティ責任者は、遵守事項3.2.1(2)(a)で定める区域ごとに、当該区域における情報セキュリティ対策の事務を統括する区域情報セキュリティ責任者1人を置くこと。
(c) 情報セキュリティ責任者は、課室ごとに情報セキュリティ対策に関する事務を統括する課室情報セキュリティ責任者1人を置くこと。
(d) 情報セキュリティ責任者は、所管する情報システムに対する情報セキュリティ対策に関する事務の責任者として、情報システムセキュリティ責任者を、当該情報システムの企画に着手するまでに選任すること。
(5) 最高情報セキュリティアドバイザーの設置
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティについて専門的な知識及び経験を有する者を最高情報セキュリティアドバイザーとして置き、自らへの助言を含む最高情報セキュリティアドバイザーの業務内容を定めること。
(6) 情報セキュリティ対策推進体制の整備
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、機関等の情報セキュリティ対策推進体制を整備し、その役割を規定すること。
(b) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策推進体制の責任者を定めること。
(7) 情報セキュリティインシデントに備えた体制の整備
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、CSIRTを整備し、その役割を明確化すること。
(b) 最高情報セキュリティ責任者は、職員等のうちからCSIRTに属する職員等として専門的な知識又は適性を有すると認められる者を選任すること。そのうち、機関等における情報セキュリティインシデントに対処するための責任者としてCSIRT責任者を置くこと。また、CSIRT内の業務統括及び外部との連携等を行う職員等を定めること。
(c) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティインシデントが発生した際、直ちに自らへの報告が行われる体制を整備すること。
(d) 最高情報セキュリティ責任者は、CYMATに属する職員を指名すること。(国の行政機関に限る。)
(8) 兼務を禁止する役割
(a) 職員等は、情報セキュリティ対策の運用において、以下の役割を兼務しないこと。
(ア) 承認又は許可(以下本条において「承認等」という。)の申請者と当該承認等を行う許可権限者
(イ) 監査を受ける者とその監査を実施する者
(b) 職員等は、承認等を申請する場合において、自らが許可権限者であるときその他許可権限者が承認等の可否の判断をすることが不適切と認められるときは、当該許可権限者の上司又は適切な者に承認等を申請し、承認等を得ること。
2.1.2 資産管理
目的・趣旨
機関等において情報セキュリティ対策を検討する際に、自組織の資産の状況を把握することが重要である。資産の把握が不十分な状況では、把握できていない資産が存在することによる対策の漏れや、網羅的な対策がなされず情報システムに脅威が存在し続ける可能性がある。さらに、情報セキュリティインシデントが発生した際、資産が正しく管理されていないと情報セキュリティインシデントに対応するための情報収集に時間を要するなど、情報セキュリティインシデントへの対処が遅れる等の可能性がある。
このため機関等においては、自組織の資産の全容を把握するために必要な事項を整理し、職員等が資産を把握しやすいように、資産台帳として情報システム台帳を整備しておく必要がある。
遵守事項
(1) 情報システム台帳の整備
(a) 統括情報セキュリティ責任者は、全ての情報システムに対して、当該情報システムのセキュリティ要件に係る事項について、情報システム台帳に整備すること。
2.1.3 情報セキュリティ関係規程の整備
目的・趣旨
機関等の情報セキュリティ水準を適切に維持し、情報セキュリティリスクを総合的に低減させるためには、機関等として遵守すべき対策の基準を、情報セキュリティに係るリスク評価の結果等を踏まえた上で定めるとともに、計画的に対策を実施することが重要である。
また、対策基準に定められた対策を実施するためには具体的な運用規程や実施手順を定める必要があるが、それらが整備されていない、又は内容に漏れがあると、対策が適切に実施されないおそれがあることから、その場合には、最高情報セキュリティ責任者は、統括情報セキュリティ責任者に運用規程等の整備を指示し、その結果について定期的に報告を受け、状況を適確に把握することが重要である。
遵守事項
(1) リスク評価の実施
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、機関等の目的等を踏まえ、自己点検の結果、情報セキュリティ監査の結果、本部監査の結果等を勘案した上で、保有する情報及び利用する情報システムに係る脅威の発生の可能性及び発生時の損失等を分析し、リスクを評価すること。
(2) 対策基準の策定
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ委員会における審議を経て、統一基準に準拠し、これと同等以上の情報セキュリティ対策が可能となるように対策基準を定めること。また、対策基準は、機関等の業務、取り扱う情報、保有する情報システムに関するリスク評価の結果及び対策基準や対策推進計画の見直し結果を踏まえた上で定めること。
(3) 運用規程及び実施手順の策定
(a) 統括情報セキュリティ責任者は、機関等における情報セキュリティ対策に関する運用規程(本統一基準で最高情報セキュリティ責任者が整備すべきとされている場合を除く。)及び実施手順(本統一基準で整備すべき者を別に定める場合を除く。)を整備し、運用規程及び実施手順に関する事務を統括し、整備状況について最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策における雇用の開始、終了及び人事異動時等に関する管理の運用規程を整備すること。
(4) 対策推進計画の策定
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ委員会における審議を経て、対策推進計画を定めること。
2.2 運用
2.2.1 情報セキュリティ関係規程の運用
目的・趣旨
機関等は、対策基準に定められた対策を実施するために定める具体的な運用規程及び実施手順を適切に運用する必要がある。
情報セキュリティ関係規程の運用において、当該規程に係る課題及び問題点を含む運用状況を適時に把握することが重要である。
遵守事項
(1) 情報セキュリティ対策の運用
(a) 情報セキュリティ対策推進体制は、最高情報セキュリティ責任者が規定した当該体制の役割に応じて必要な事務を遂行すること。
(b) 情報セキュリティ責任者又は課室情報セキュリティ責任者は、職員等から情報セキュリティ関係規程に係る課題及び問題点の報告を受けた場合は、統括情報セキュリティ責任者に報告すること。
(c) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ関係規程に係る課題及び問題点を含む運用状況を適時に把握し、必要に応じて最高情報セキュリティ責任者にその内容を報告すること。
(2) 違反への対処
(a) 職員等は、情報セキュリティ関係規程への重大な違反を知った場合は、情報セキュリティ責任者にその旨を報告すること。
(b) 情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ関係規程への重大な違反の報告を受けた場合及び自らが重大な違反を知った場合には、違反者及び必要な者に情報セキュリティの維持に必要な措置を講じさせるとともに、統括情報セキュリティ責任者を通じて、最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
2.2.2 例外措置
目的・趣旨
例外措置はあくまで例外であって、濫用があってはならない。しかしながら、情報セキュリティ関係規程の適用が業務の適正な遂行を著しく妨げるなどの理由により、規定された対策の内容と異なる代替の方法を採用すること又は規定された対策を実施しないことを認めざるを得ない場合がある。このような場合に対処するために、例外措置の手続を定めておく必要がある。
遵守事項
(1) 例外措置手続の整備
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、例外措置の適用の申請を審査し、許可する者(以下本款において「許可権限者」という。)及び審査手続を定めること。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、例外措置の適用審査記録の台帳を整備し、許可権限者に対して、定期的に申請状況の報告を求めること。
(2) 例外措置の運用
(a) 職員等は、定められた審査手続に従い、許可権限者に規定の例外措置の適用を申請すること。ただし、業務の遂行に緊急を要し、当該規定の趣旨を十分尊重した扱いを取ることができる場合であって、情報セキュリティ関係規程の規定とは異なる代替の方法を直ちに採用すること又は規定されている方法を実施しないことが不可避のときは、事後速やかに届け出ること。
(b) 許可権限者は、職員等による例外措置の適用の申請を、定められた審査手続に従って審査し、許可の可否を決定すること。
(c) 許可権限者は、例外措置の申請状況を台帳に記録し、統括情報セキュリティ責任者に報告すること。
(d) 統括情報セキュリティ責任者は、例外措置の申請状況を踏まえた情報セキュリティ関係規程の追加又は見直しの検討を行い、最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
2.2.3 教育
目的・趣旨
情報セキュリティ関係規程が適切に整備されているとしても、その内容が職員等に認知されていなければ、当該規定が遵守されないことになり、情報セキュリティ水準の向上を望むことはできない。このため、全ての職員等が、情報セキュリティ関係規程への理解を深められるよう、適切に教育を実施することが必要である。
また、機関等における近年の情報セキュリティインシデントの増加等に鑑み、情報セキュリティの専門性を有する人材を育成することも求められる。
遵守事項
(1) 教育体制の整備・教育実施計画の策定
(a) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策に係る教育について、対策推進計画に基づき教育実施計画を策定し、その実施体制を整備すること。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティの状況の変化に応じ職員等に対して新たに教育すべき事項が明らかになった場合は、教育実施計画を見直すこと。
(2) 教育の実施
(a) 課室情報セキュリティ責任者は、教育実施計画に基づき、職員等に対して、情報セキュリティ関係規程に係る教育を適切に受講させること。
(b) 職員等は、教育実施計画に従って、適切な時期に教育を受講すること。
(c) 課室情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策推進体制及びCSIRTに属する職員等に教育を適切に受講させること。また、国の行政機関における課室情報セキュリティ責任者は、CYMATに属する職員にも教育を適切に受講させること。
(d) 課室情報セキュリティ責任者は、教育の実施状況を記録し、情報セキュリティ責任者及び統括情報セキュリティ責任者に報告すること。
(e) 統括情報セキュリティ責任者は、教育の実施状況を分析、評価し、最高情報セキュリティ責任者に情報セキュリティ対策に関する教育の実施状況について報告すること。
2.2.4 情報セキュリティインシデントへの対処
目的・趣旨
情報セキュリティインシデントを認知した場合には、最高情報セキュリティ責任者に早急にその状況を報告するとともに、被害の拡大を防ぎ、回復のための対策を講ずる必要がある。また、情報セキュリティインシデントの対処が完了した段階においては、原因について調査するなどにより、情報セキュリティインシデントの経験から今後に生かすべき教訓を導き出し、再発防止や対処手順、体制等の見直しにつなげることが重要である。
遵守事項
(1) 情報セキュリティインシデントに備えた事前準備
(a) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティインシデントの可能性を認知した際の報告窓口を含む機関等関係者への報告手順を整備し、報告が必要な具体例を含め、職員等に周知すること。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティインシデントの可能性を認知した際の機関等外との情報共有を含む対処手順を整備すること。
(c) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティインシデントに備え、業務の遂行のため特に重要と認めた情報システムについて、緊急連絡先、連絡手段、連絡内容を含む緊急連絡網を整備すること。
(d) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティインシデントへの対処の訓練の必要性を検討し、業務の遂行のため特に重要と認めた情報システムについて、その訓練の内容及び体制を整備すること。
(e) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティインシデントについて機関等外の者から報告を受けるための窓口を整備し、その窓口への連絡手段を機関等外の者に明示すること。
(f) 統括情報セキュリティ責任者は、対処手順が適切に機能することを訓練等により確認すること。
(2) 情報セキュリティインシデントへの対処
(a) 職員等は、情報セキュリティインシデントの可能性を認知した場合には、機関等の報告窓口に報告し、指示に従うこと。
(b) CSIRTは、報告された情報セキュリティインシデントの可能性について状況を確認し、情報セキュリティインシデントであるかの評価を行うこと。
(c) CSIRT責任者は、情報セキュリティインシデントであると評価した場合、最高情報セキュリティ責任者に速やかに報告すること。
(d) CSIRTは、情報セキュリティインシデントに関係する情報セキュリティ責任者に対し、被害の拡大防止等を図るための応急措置の実施及び復旧に係る指示又は勧告を行うこと。また、CSIRTは、同様の情報セキュリティインシデントが別の情報システムにおいても発生している可能性を検討し、必要に応じて当該情報システムを所管する情報システムセキュリティ責任者へ確認を指示すること。
(e) 情報システムセキュリティ責任者は、所管する情報システムについて情報セキュリティインシデントを認知した場合には、機関等で定められた対処手順又はCSIRTの指示若しくは勧告に従って、適切に対処すること。
(f) 政府共通利用型システム利用機関の情報システムセキュリティ責任者は、認知した情報セキュリティインシデントが政府共通利用型システムに関するものである場合には、当該政府共通利用型システムの情報セキュリティ対策に係る運用管理規程に従い、適切に対処すること。
(g) CSIRTは、認知した情報セキュリティインシデントがサイバー攻撃又はそのおそれのあるものである場合には、警察への通報・連絡等を行うこと。
(h) CSIRTは、情報セキュリティインシデントに関する対処状況を把握し、対処全般に関する指示、勧告又は助言を行うこと。
(i) CSIRTは、情報セキュリティインシデントに関する対処の内容を記録すること。
(j) CSIRTは、CYMATの支援を受ける場合には、支援を受けるに当たって必要な情報提供を行うこと。
(3) 情報セキュリティインシデントに係る情報共有
(a) 国の行政機関におけるCSIRTは、当該機関の情報システムにおいて、情報セキュリティインシデントを認知した場合には、当該事象について速やかに、内閣官房国家サイバー統括室に連絡すること。また、独立行政法人及び指定法人におけるCSIRTは、当該法人の情報システムにおいて、情報セキュリティインシデントを認知した場合には、当該事象について速やかに、当該法人を所管する国の行政機関に連絡すること。この連絡を受けた国の行政機関におけるCSIRTは、当該事象について速やかに、内閣官房国家サイバー統括室に連絡すること。
(b) 国の行政機関におけるCSIRTは、認知した情報セキュリティインシデント又は独立行政法人及び指定法人から連絡を受けた情報セキュリティインシデントが、国民の生命、身体、財産若しくは国土に重大な被害が生じ、若しくは生じるおそれのある大規模サイバー攻撃事態又はその可能性がある事態である場合には、「大規模サイバー攻撃事態等への初動対処について(平成22年3月19日内閣危機管理監決裁)」に基づく報告連絡を行うこと。
(c) CSIRTは、情報セキュリティインシデントに関して、機関等を含む関係機関と情報共有を行うこと。
(d) 情報セキュリティインシデントにより、個人情報・特定個人情報の漏えい等が発生した場合、必要に応じて個人情報保護委員会へ報告を行うこと。
(4) 情報セキュリティインシデントの再発防止・教訓の共有
(a) 情報セキュリティ責任者は、CSIRTから応急措置の実施及び復旧に係る指示又は勧告を受けた場合は、当該指示又は勧告を踏まえ、情報セキュリティインシデントの原因を調査するとともに再発防止策を検討し、それを報告書として最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(b) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ責任者から情報セキュリティインシデントについての報告を受けた場合には、その内容を確認し、再発防止策を実施するために必要な措置を指示すること。
(c) CSIRT責任者は、情報セキュリティインシデント対処の結果から得られた教訓を、統括情報セキュリティ責任者、関係する情報セキュリティ責任者等に共有すること。
2.3 点検
2.3.1 情報セキュリティ対策の自己点検
目的・趣旨
情報セキュリティ対策の実効性を担保するためには、情報セキュリティ関係規程の遵守状況等を点検し、その結果を把握・分析することが必要である。
自己点検は、職員等が自らの役割に応じて実施すべき対策事項を実際に実施しているか否かを確認するだけではなく、組織全体の情報セキュリティ水準を確認する目的もあることから、適切に実施することが重要である。
また、自己点検の結果を踏まえ、各当事者は、それぞれの役割の責任範囲において、必要となる改善策を実施する必要がある。
遵守事項
(1) 自己点検計画の策定・手順の準備
(a) 統括情報セキュリティ責任者は、対策推進計画に基づき年度自己点検計画を策定すること。
(b) 情報セキュリティ責任者は、年度自己点検計画に基づき、職員等ごとの自己点検票及び自己点検の実施手順を整備すること。
(c) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティの状況の変化に応じ、職員等に対して新たに点検すべき事項が明らかになった場合は、年度自己点検計画を見直すこと。
(2) 自己点検の実施
(a) 情報セキュリティ責任者は、年度自己点検計画に基づき、職員等に自己点検の実施を指示すること。
(b) 職員等は、情報セキュリティ責任者から指示された自己点検票及び自己点検の手順を用いて自己点検を実施すること。
(3) 自己点検結果の評価・改善
(a) 情報セキュリティ責任者は、自己点検結果について、自らが担当する組織のまとまり特有の課題の有無を確認するなどの観点から自己点検結果を分析、評価すること。また、評価結果を統括情報セキュリティ責任者に報告すること。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、機関等に共通の課題の有無を確認するなどの観点から自己点検結果を分析、評価すること。また、評価結果を最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(c) 最高情報セキュリティ責任者は、自己点検結果を全体として評価し、自己点検の結果により明らかになった問題点について、統括情報セキュリティ責任者及び情報セキュリティ責任者に改善を指示し、改善結果の報告を受けること。
2.3.2 情報セキュリティ監査
目的・趣旨
情報セキュリティ対策の実効性を担保するためには、情報セキュリティ対策を実施する者による自己点検だけでなく、独立性を有する者による情報セキュリティ対策の監査を実施することが必要である。機関等において実施する情報セキュリティ監査は、業務や情報システムへの理解度が高く、効率的に監査の深掘りができ、組織の情報セキュリティ対策の改善に係るPDCAサイクルを円滑に機能させるためにも重要である。
また、監査の結果で明らかになった課題を踏まえ、最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ責任者に指示し、必要な対策を講じさせることが重要である。
遵守事項
(1) 監査実施計画の策定
(a) 情報セキュリティ監査責任者は、対策推進計画に基づき監査実施計画を定めること。
(b) 情報セキュリティ監査責任者は、情報セキュリティの状況の変化に応じ、対策推進計画で計画された以外の監査の実施が必要な場合には、追加の監査実施計画を定めること。
(2) 監査の実施
(a) 情報セキュリティ監査責任者は、監査実施計画に基づき、監査の実施を監査実施者に指示し、結果を監査報告書として最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(3) 監査結果に応じた対処
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、監査報告書の内容を踏まえ、指摘事項に対する改善計画の策定等を統括情報セキュリティ責任者及び情報セキュリティ責任者に指示すること。また、措置が完了していない改善計画は、定期的に進捗状況の報告を指示すること。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、最高情報セキュリティ責任者からの改善の指示のうち、機関等内で横断的に改善が必要な事項について、必要な措置を行った上で改善計画を策定し、措置結果及び改善計画を最高情報セキュリティ責任者に報告すること。また、措置が完了していない改善計画は、定期的に進捗状況を最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(c) 情報セキュリティ責任者は、最高情報セキュリティ責任者からの改善の指示のうち、自らが担当する組織のまとまりに特有な改善が必要な事項について、必要な措置を行った上で改善計画を策定し、措置結果及び改善計画を最高情報セキュリティ責任者に報告すること。また、措置が完了していない改善計画は、定期的に進捗状況を最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
2.4 見直し
2.4.1 情報セキュリティ対策の見直し
目的・趣旨
情報セキュリティを取り巻く環境は常時変化しており、こうした変化に的確に対応しないと、情報セキュリティ水準を維持できなくなる。このため、機関等の情報セキュリティ対策の根幹をなす情報セキュリティ関係規程は、実際の運用において生じた課題、自己点検・監査等の結果や情報セキュリティに係る重大な変化等を踏まえ、保有する情報及び利用する情報システムに係る脅威の発生の可能性及び顕在時の損失等を分析し、リスクを評価し、適時見直しを行う必要がある。
また、情報セキュリティに係る取組をより一層推進するためには、上記のリスク評価の結果を対策基準及び対策推進計画に反映することも重要である。
遵守事項
(1) 情報セキュリティ対策の見直し
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、リスク評価に変化が生じた場合には、情報セキュリティ委員会による審議を経て、対策基準や対策推進計画の必要な見直しを行うこと。
(2) 情報セキュリティ関係規程等の見直し
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティの運用及び自己点検、情報セキュリティ監査、本部監査等の結果等を総合的に評価するとともに、情報セキュリティに係る重大な変化等を踏まえ、情報セキュリティ委員会の審議を経て、対策基準について必要な見直しを行うこと。
(b) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティの運用及び自己点検、情報セキュリティ監査、本部監査等の結果等を踏まえて情報セキュリティ対策に関する運用規程及び実施手順を見直し、又は整備した者に対して規定の見直しを指示し、見直し結果について最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(c) 統括情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティの運用及び自己点検、情報セキュリティ監査、本部監査等の結果等を踏まえて機関等内で横断的に改善が必要となる情報セキュリティ対策の運用見直しについて、機関等内の職制及び職務に応じた措置の実施又は指示し、措置の結果について最高情報セキュリティ責任者に報告すること。
(3) 対策推進計画の見直し
(a) 最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策の運用及び自己点検、情報セキュリティ監査、本部監査等を総合的に評価するとともに、情報セキュリティに係る重大な変化等を踏まえ、情報セキュリティ委員会の審議を経て、対策推進計画について定期的な見直しを行うこと。
2.5 独立行政法人及び指定法人
2.5.1 独立行政法人及び指定法人に係る情報セキュリティ対策
目的・趣旨
独立行政法人や指定法人においても、国の行政機関の重要な情報に相当する情報が取り扱われている場合があるため、国の行政機関と同様に情報セキュリティ対策が適切に講じられる必要がある。そのためには、当該法人を所管する国の行政機関との連携による情報セキュリティマネジメントが適切に機能することが重要である。
遵守事項
(1) 独立行政法人及び指定法人を所管する国の行政機関における体制の整備
(a) 独立行政法人及び指定法人を所管する国の行政機関に置かれる最高情報セキュリティ責任者は、所管する独立行政法人及び指定法人の情報セキュリティ対策が適切に推進されるために必要な機関内の体制の整備を指示すること。
(2) 独立行政法人及び指定法人における情報セキュリティ対策
(a) 独立行政法人及び指定法人の最高情報セキュリティ責任者は、情報セキュリティ対策を適切に推進するため、所管省庁と密接な連携を要する事項や専門的知見を要する事項について、当該法人を所管する国の行政機関へ助言を求めること。